「漆喰工事が必要な時期は」
「どんな劣化があると漆喰工事をすべきか」
瓦屋根の漆喰が剥がれてきたり点検で劣化を指摘された方は、漆喰の補修が必要と感じていらっしゃるでしょう。しかし、実際に工事を検討しようとしても、費用や依頼すべき業者など具体的にわからないとご不安かもしれません。
そこで、屋根の漆喰詰め直し工事について知っておくべき情報をまとめました。漆喰工事を施工する前に、事前に漆喰工事についてご理解いただきたいと思います。
- 漆喰工事とは?
- 漆喰工事が必要な理由
- 漆喰工事をすべき時期
- 漆喰工事の費用相場は1mあたり2千7百円~
- 漆喰工事は外壁塗装業者に依頼
- 漆喰工事の工程と期間
- 弊社の漆喰工事の施工事例

榎本悟
一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。

橋本卓哉
石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者
学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。
1.漆喰工事とは?
2.漆喰工事が必要な理由
2-1.屋根内部に水が浸入するのを防止するため
2-2.瓦屋根を長持ちさせるため
2-3.瓦の落下リスクを防ぐため
2-4.大掛かりな工事を避けるため
3.漆喰工事をすべき時期
3-1.築年数や前回の工事から判断する
3-2.劣化症状を見て判断する
4.漆喰工事の費用相場は1mあたり2千7百円~
5.漆喰工事は外壁塗装業者に依頼
6.漆喰工事の工程と期間
7.弊社の漆喰工事の施工事例
7-1.日本瓦の漆喰詰め直し工事の施工事例(施工費:約15万円)
7-2.日本瓦の漆喰詰め直し工事の施工事例(施工費:約7.5万円)
7-3.日本瓦の漆喰詰め直し工事の施工事例(施工費:約21万円)
8.まとめ
漆喰工事とは?
漆喰工事とは、主に屋根の棟部分に使われている漆喰を補修・詰め直す工事のことです。屋根の漆喰は日本瓦や陶器瓦など瓦屋根の棟部分に使われており、内部の葺き土を雨風から守る重要な役割をしています。
瓦屋根では、瓦を固定したり雨水の侵入を防ぐために漆喰が詰められています。しかし、漆喰は時間とともに劣化し、ひび割れや剥がれが起きます。放置すると瓦のズレや雨漏りにつながる恐れがあるので、定期的に漆喰詰め直し工事が必要になります。
漆喰詰め直し工事は、劣化した漆喰を取り除き新しい漆喰を詰め直す作業を行います。塗装が不要の瓦でも漆喰は傷んでしまうので、屋根全体の耐久性を保つためには欠かせない工事になります。
漆喰工事が必要な理由
屋根の漆喰は、家を雨や風から守るためにとても重要な部分です。傷んだまま放置すると、雨漏りや瓦のズレといった大きなトラブルにつながる可能性もあります。
こちらの章では、漆喰工事がどうして必要なのか、その理由を具体的にご紹介いたします。
屋根内部に水が浸入するのを防止するため
屋根の漆喰は瓦の棟部分に詰められていて、雨が屋根の内部に入り込むのを防ぐ重要な役割をしています。もし漆喰が割れたり剥がれたりすると、そこから雨水が浸入してしまいます。
また、屋根の中には葺き土という土が使われていて、瓦をしっかり固定し屋根全体の形を保つ役割をしています。雨水が入り込むと、葺き土が流れ出したり湿って傷んでしまいます。
葺き土が傷むと瓦が動きやすくなり、隙間からさらに雨水が侵入してしまうという悪循環になります。結果として、雨漏りや屋根の劣化に繋がる可能性が高まる為、漆喰でしっかりと屋根内部への水の侵入を防ぐのが大切です。
瓦屋根を長持ちさせるため
日本瓦など瓦自体は30年以上長持ちしますが、実際には瓦そのものよりも瓦を支える下地や漆喰のほうが先に傷んでしまいます。特に漆喰は雨風や紫外線の影響を受けやすく、10年~20年ほどで劣化が進んでしまいます。
漆喰の剥がれやひび割れが起こると、すき間から雨水が入り瓦の下にある葺き土が流されてしまいます。葺き土は瓦を安定させるために必要な役割をしている為、失われると瓦が少しずつズレたり傾いたりしてしまうのです。
ズレや傾きを放置すると風や地震の影響で瓦が落ちることもあり、結果として瓦屋根全体の耐久性を損なう可能性があります。瓦自体はまだ使えるのに漆喰の劣化を放置した為、屋根全体の修理が必要になるかもしれません。
そのため、定期的に漆喰詰め直し工事を行うことが、瓦屋根を長く使い続けるために重要になります。費用を抑えつつ瓦屋根を長持ちさせる為に、漆喰の状態に気を配り必要に応じて早めに補修することをおすすめいたします。
瓦の落下リスクを防ぐため
漆喰が劣化するとひび割れや剥がれが起こり、固定する力が弱まってしまいます。その結果、棟瓦が少しずつ動いたり、ズレたりしてしまいます。さらに、地震や強風・台風などの衝撃が加わると、瓦が落下する可能性もあり危険を伴います。
屋根の一番高い部分にある棟の内部を支えているのが葺き土と漆喰になります。この漆喰がしっかり詰められていることで、棟瓦は固定されズレたり崩れたりすることなく安定しているのです。
瓦の落下などの危険を避ける為に、漆喰の状態を定期的にチェックし早めに補修するのが重要です。漆喰をしっかり詰め直しておくと、棟瓦が固定され落下のリスクを減らすことができます。
大掛かりな工事を避けるため
漆喰の劣化を放置すると、棟の瓦がズレてしまう場合があります。そうなると、漆喰詰め直し工事ではメンテナンスが不十分の為、棟の取り直し工事が必要になります。
棟は屋根を覆うように一番高い所に積まれている瓦で、漆喰や土でしっかり固定されています。漆喰が劣化したままだと棟を支える力が弱くなり、棟瓦が傾いたりズレたりして屋根全体のバランスが崩れてしまいます。
一度棟瓦をすべて取り外して土台から積み直す「棟の取り直し工事」で、瓦からメンテナンスする必要があるのです。棟の取り直し工事は漆喰詰め直し工事より費用が高額になる為、早めのメンテナンスがおすすめです。
- 漆喰詰め直し工事(漆喰撤去・瓦ズレ修正込み)=¥54,000~
- 棟の取り直し工事=20万円~+漆喰工事費用(¥54,000~)
漆喰工事をすべき時期
住宅に日本瓦などを採用している場合は、必ず漆喰詰め直し工事が必要になります。
漆喰は比較的長持ちする素材ではありますが、時間の経過とともに必ず劣化が進む部分です。では、どのタイミングで漆喰工事を検討すればいいのでしょうか?
こちらの章では、「年数で判断する方法」と「実際の劣化症状で判断する方法」の2つをご紹介いたします。
築年数や前回の工事から判断する
築20年以上経って一度も漆喰を点検・補修していない場合は、屋根の点検をおすすめいたします。漆喰が劣化し、大きなトラブルに繋がる可能性もあります。
漆喰の寿命は、一般的に10~20年が目安とされています。そのため、築20年を経過したら、漆喰詰め直し工事が必要である目安とお考えいただきたいと思います。※あくまでも目安の為、地域の気候や屋根の形・日当たり条件などによって寿命は異なります
また、過去に漆喰詰め直し工事をした方も、前回工事から20年以上経過している場合は再度点検をご検討ください。漆喰は表面から徐々に風化する為、見た目は問題なく感じても内部の接着力が弱まっているケースもあるので注意が必要です。
- 築20年以上で一度も屋根点検をしたことがない
- 前回の漆喰詰め直し工事から20年以上経過している
劣化症状を見て判断する
実際に漆喰に劣化症状がある場合は、すぐに工事が必要です。
早期に対処すると、漆喰の詰め直しだけでメンテナンスが可能です。しかし、放置すると棟瓦のズレや雨漏りに発展し、補修費用が高額になる場合もあります。
以下のような症状が見られたら、早めに業者に点検を依頼しましょう。
▼漆喰工事が必要な劣化症状▼
劣化症状 | 写真 |
漆喰に黒ずみ・変色がある | ![]() |
漆喰がポロポロ剥がれている | ![]() |
隙間から雑草が生えている | ![]() |
瓦にズレや歪みがある | ![]() |
屋根の下に白い粉や破片が落ちている | ![]() |
以上のような劣化が見られる場合は、早めに漆喰詰め直し工事をご検討いただきたいと思います。
漆喰工事の費用相場は1mあたり2千7百円~
南大阪ペイントセンターでの漆喰詰め直し工事は、1mあたり2千7百円~になります。こちらは足場代を含んでいない為、別途足場代も必要になります。
例えば、10mの棟瓦の漆喰詰め直し工事だけの費用を計算するとこちらになります。
※10mの棟瓦の場合、両側面に漆喰詰め直し工事が必要になるので合計20mの工事になります。
10m×2,700円=27,000円
棟瓦の両側面に漆喰詰め直し工事が必要な為、27,000円×2=54,000円~
しかし、漆喰詰め直し工事の実際の費用は、あらゆる条件によって変動します。漆喰詰め直し工事の費用が変動する理由がこちらになります。
- 棟の長さ(棟が長い・多いほど高額)
- 屋根の勾配(傾斜が急だと手間が増えるので割高になる)
- 劣化の状態(劣化が進行していると工事に手間がかかる)
以上のような理由から、漆喰詰め直し工事の費用は変動するとお考えいただきたいと思います。
漆喰工事は外壁塗装業者に依頼
漆喰詰め直し工事は、外壁や屋根の塗装工事を請け負う外壁塗装業者であれば問題なく施工可能です。必ずしも、漆喰専門業者に依頼する必要はありません。
実際に、外壁塗装とセットで漆喰工事を依頼される方も多く、足場を活用でき工事の手間や費用を抑えることができます。また、外壁塗装業者には屋根の構造を理解している職人が在籍している為、漆喰詰め直し工事を任せるべき業者と言えるでしょう。
一方で、漆喰工事は可能と言っていても、実際は慣れていない業者なども存在するので注意が必要です。以下のポイントを確認しておくと安心です。
- 漆喰詰め直し工事の施工実績があるか(実際の施工写真なども確認)
- 見積書に工事内容の記載があるか(単価やm数なども確認)
- 使用する材料や施工方法の説明があるか
- 保証やアフターフォローがあるか
- 点検を丁寧に行ってくれるか
以上のような内容が確認できれば、専門業者に依頼しなくても外壁塗装業者に安心して任せることできます。
外壁塗装業者でも、経験が豊富で多くの実績があるなら漆喰工事は問題なく対応できます。むしろ塗装などのメンテナンスと同時にできる点で、効率もコストも良い選択肢になるとお考えいただきたいと思います。
漆喰工事の工程と期間
漆喰詰め直し工事の期間は、約2日になります。工事の期間は、棟の長さや屋根の形状などによって異なります。
漆喰詰め直し工事の流れは以下のようになります。
▼漆喰詰め直し工事の工程▼
✔古い漆喰を撤去
古くなった漆喰をハンマーなどで砕いて取り除きます。取り除くと中に葺き土を確認することができます。
✔新しい漆喰を詰め直し
古い漆喰を撤去した部分に、新しい漆喰を詰めていきます。
✔仕上げ・掃除
漆喰を詰め直し工事が完了したら、最後に仕上げ・掃除を行います。南大阪ペイントセンターでは外壁塗装と同時に漆喰工事を施工される場合は、漆喰工事後に高圧洗浄をさせていただきます。
以上が基本的な漆喰詰め直し工事になります。必要に応じて、簡単な瓦のズレ修正を同時に行う場合もあります。
漆喰詰め直し工事は、大規模な屋根工事と比べると比較的短期間で終わる作業になります。
弊社の漆喰工事の施工事例
南大阪ペイントセンターで施工した漆喰工事の施工事例をご紹介いたします。
日本瓦の漆喰詰め直し工事の施工事例(施工費:約15万円)
こちらは、築36年の日本瓦の住宅です。経年劣化から瓦の漆喰が傷んでしまい、屋根からの雨漏りの危険性がありました。
瓦の隙間を埋めるようにある漆喰は、瓦を固定したり雨の侵入を阻止する役割があります。漆喰の寿命は10~20年の為、築36年という年数から雨漏り防止のためにも漆喰詰め直し工事が必要になります。
古くなった漆喰をハンマーなどで砕いて取り除き、撤去した部分に新しい漆喰を詰めて施工しました。
こちらの施工費用は、漆喰工事のみの費用になります。足場代・共通工事などは別途費用がかかり、外壁塗装なども含めて実際にかかった費用は総額約134万円になりました。
日本瓦の漆喰詰め直し工事の施工事例(施工費:約7.5万円)
詳しい内容はこちら>
こちらは、築40年以上経過した住宅です。
経年劣化から屋根の漆喰が痛んでいました。カビが発生し雨水をどんどん吸収している為、雨漏りの危険性があります。また、漆喰の一部が剥がれ屋根瓦をしっかり固定できていない為、瓦が落下してしまう可能性があります。
屋根の寿命確保と瓦の落下防止の為に、漆喰詰め直し工事を施工しました。
こちらの住宅は外壁塗装も施工し、外壁塗装費用は別途約81万円かかっています。
日本瓦の漆喰詰め直し工事の施工事例(施工費:約21万円)
詳しい内容はこちら>
こちらは、築25年の日本瓦の住宅です。
日本瓦の表面の塗装工事は必要ありませんが、漆喰部分が黒く変色していました。漆喰は瓦を固定する役割をしているので、劣化すると瓦の耐久性に影響を及ぼします。
そのため、古くなった漆喰を撤去して新しい漆喰を詰める漆喰詰め直し工事を施工しました。
こちらの住宅は外壁塗装も施工し、外壁塗装費用は別途約120万円かかっています。
まとめ
屋根の漆喰詰め直し工事は、雨漏りや瓦のズレを防ぎ屋根全体を長持ちさせるために欠かせない工事です。劣化したまま放置すると、思わぬ大きな工事に繋がる可能性もあります。
南大阪ペイントセンターの漆喰の詰め直し工事の費用は、1mあたり2千7百円~になります。約2日ほどで完了する工期の短いメンテナンスです。外壁塗装などと同時に行えば、足場代の節約にも繋がります。
南大阪ペイントセンターでは、屋根の漆喰詰め直し工事の施工実績が多数ございます。弊社にご依頼いただくお客様は、外壁塗装などとまとめて漆喰工事を施工される場合が多いです。
「漆喰工事について教えて欲しい」「屋根の点検だけして欲しい」などというご要望もお受けしております。ぜひ一度、南大阪ペイントセンターにご相談ください。
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