断熱塗料ガイナの特徴や費用・メリットデメリットを徹底解説!

断熱塗料ガイナの特徴や費用・メリットデメリットを徹底解説した記事

外壁塗装を検討している方の中には「せっかく塗装するなら断熱効果もほしい」と思っている方も多いのではないでしょうか?

そんな方に注目されているのが、塗るだけで断熱効果があるとされている塗料、「ガイナ」です。近年の唸るような暑さに効果があるのなら嬉しいですよね!

しかし、実際のところ「本当に効果はあるのか?」「費用は?」「デメリットは?」と疑問に思われる方も多いでしょう。

この記事では断熱塗料「ガイナ」の特徴やメリット・デメリット、費用相場や他塗料との比較などわかりやすくまとめました。

ぜひご一読ください!

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監修者情報
監修者 榎本悟

榎本悟

一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


監修者 橋本卓哉

橋本卓哉

雨漏り診断士
学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

1.断熱塗料「ガイナ」とは?

ガイナとはJAXA(宇宙航空研究開発機構)のロケット開発技術を活用して生まれた多機能塗料です。

一般的な塗料とは異なり特殊なセラミックビーズを含み、塗るだけで断熱・防音など多くの機能を発揮する付加価値の高い塗料です。

もともとはロケットを高温から守るために開発されたそうですよ!

1-1.ガイナの基本性能と耐久性について

 

ガイナは断熱塗料として有名で、夏は太陽光を反射して屋内の温度上昇を抑え、冬は屋内の熱を外に逃がしにくくすることが特徴です。

塗料内部にセラミックビーズが含まれておりこのビーズが断熱の鍵を握っています。

ガイナに含まれるセラミックビーズは内部が空洞になっており、熱を伝えにくい性質を持っています。このビーズが塗膜内にたくさん存在することで、表面に空気の層のようなものができ断熱バリアが形成されるのです。

1-2.ガイナは遮熱と断熱の両方を兼ね揃えた塗料

また、よく混同されがちなのが「遮熱塗料」です。遮熱塗料は太陽に反射して熱を遮る塗料です。

一方、断熱塗料は表面だけでなく塗膜内部全体から熱を通さない性質をもっているので昼間の太陽が昇っている時間だけでなく夜間にも効果があるのです。

ガイナはそんな遮熱効果も断熱効果も両方兼ね揃えた高性能塗料なんです!

1-3. ガイナの費用相場は約3500円/㎡~

ガイナは高機能である分、他塗料と比べて費用は高くなります。

1㎡あたり約3500円~、一般的な30坪のお宅で約100万円前後かかります。ここに足場設置費や下地処理費などが加算されます。

塗料の種類と価格
ガイナ(3500円/㎡~)
無機塗料(3500円~/㎡)
フッ素塗料(3500円~/㎡)
ラジカル塗料(2200円~/㎡)
シリコン塗料(2300円~/㎡)
ウレタン塗料(1700円~/㎡)
アクリル塗料(1000円~/㎡)

2.ガイナを弊社ではおすすめしていない理由2つ

断熱塗料ガイナは高機能塗料として確かに注目されていますが、実際に施工を多く経験している弊社としては積極的におすすめしているわけではありません。

その理由を正直にお伝えしたいと思います。

2-1.「体感」があまり感じられないから

ガイナには断熱機能がありますが、実際に暮らしてみて劇的なちがいを感じられるかというとそうでもないケースが多いのが事実です。

特に熱(暑さ)の多くは窓から出入りしており、その効果を塗料だけでは十分に実感しにくいことがあります。

夏の窓からの熱の侵入…70~80%
冬の窓からの熱の侵入…50~60%

※経済産業省「健在トップランナー制度の見直しに向けた調査及び窓の表示制度の検討に関する報告書」によるデータ
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2022FY/000069.pdf

これらのデータの通り、住宅は窓のないロケットとは異なり圧倒的に窓からの熱の侵入が多いためガイナを塗装しても根本的な改善には限界があるかと思います。

そのため、弊社ではガイナでの塗装よりも二重サッシや内窓の設置などの対策を優先してご提案しております。

2-2.塗膜のひび割れが多いから

ガイナは塗膜の伸縮性が悪くひび割れ(クラック)を起こしやすい塗料です。また、親水性も低いため、汚れが付きやすく目立ちやすい傾向もあります。

また、通常塗料と比べて厚塗りになってしまうため施工手間も費用もかかるのため、あまりご提案しておりません。

もちろんガイナが悪い塗料というわけではありません。屋根などピンポイントで使うことで一定の効果を得ることは可能です。

しかし、弊社の考えといたしましては、「外壁への断熱を考えるなら、もっとコスパの高い選択が他にある」と判断し積極的にご提案はしていません。

3.断熱塗料ガイナでの外壁塗装が向いている家と向いていない家

ここまでガイナの特徴や費用を説明して参りました。また、体感を感じられないため弊社ではおすすめしていないこともお話しました。

つまりガイナは全ての家に最適というわけではありません。弊社の職人の意見をきくと「ガイナが向いている家」と「向いていない家」がありました。

向いている家 向いていない家
日当たりがよく夏場暑い家 窓が多く大きい家
最上階に住んでいる住宅(特にマンション) 外壁の汚れやひび割れが気になる家
屋根裏の暑さに悩んでいる家 圧倒的な体感の変化を求める方
エアコンの効率が悪い家  

【結論】日当たりが良く夏場暑い家などにガイナは向いていますが、価格に対して劇的な体感効果を感じにくいガイナは、外壁ではなく屋根への塗装のほうが向いており、外壁に塗装をするのではなく二重窓など他の断熱対策を検討すると良いかと思います。

4.ガイナを使って外壁塗装をするメリット6つ

弊社ではガイナを積極的にご提案していないとお話しましたが、特定の環境やニーズにはメリットがあります。6つにわけてお話していきたいと思います。

4-1.夏は涼しく冬は暖かい

ガイナを塗ることで、外部からの熱の侵入や内部の熱の放出を抑える効果があります。これにより夏は室内の温度上昇を抑え冬は暖房の熱を逃しにくくなります。

特に屋根などの日当たりの良いところで効果を発揮しやすいため、外壁よりも屋根にガイナを塗装するケースが多いです。

4-2.エアコンの使用を節約できる

室内の温度が安定することでエアコンの使用を抑えることができ電気代の節約に繋がります。

東京都立大学と日進産業の共同研究によると夏季(5月~10月)で21.3%の削減、冬季(11月~4月)で25.2%の削減ができたそうです。

ただし建物の構造や使用状況によって異なるため具体的な削減率は条件によって異なります。

出典:ガイナカタログ

4-3.防音・防臭効果

ガイナは断熱機能だけでなく、防音・防臭効果もあります。

ガイナの塗膜は音を反射する性質があり、外からの騒音を軽減する効果があります。また、においの吸着性も高く、室内の空気環境を快適に保つことができます。

4-4.結露を防ぐことができる

断熱効果があることで室内と室外の温度差が軽減され、結露の発生を抑えることができます。結露の発生を防ぐことでカビの発生を防ぐことにも繋がります。

4-5.耐久性に優れている

ガイナは紫外線や雨に強く塗膜の劣化を防ぎます。これによって耐久性が優れており塗装でのメンテナンス頻度を減らすこともできます。

4-6.補助金が適用される場合がある

ガイナのような高機能塗料を使用した外壁塗装は自治体によっては補助金が適用されるケースがあります。大阪府では以下の自治体で補助金制度があります。

自治体名 補助制度名 対象工事 補助金額
大阪市 住宅省エネ改修補助金 断熱塗料を使った外壁や屋根の塗装工事 工事費の1/5(上限20万円)
堺市 住宅リフォーム補助金 断熱性向上を目的とした塗装工事 工事費の1/10(上限10万円)
吹田市 省エネ住宅改修補助金 断熱塗料を使った外壁や屋根の塗装工事 工事費の1/5(上限15万円)
 

※残念ながら南大阪ペイントセンターが所在する松原市では補助金はありませんでした。補助金制度は年度によって変更される可能性があります。詳しくは各自治体にお問合せください。

5.ガイナを使って外壁塗装をするデメリット5つ

ここからは反対にガイナを使って外壁塗装をするデメリットを5つにわけてお話していきたいと思います。

5-1.費用が高い

ガイナは一般的なシリコン塗料やラジカル塗料と比べ1.5~2倍近く費用が高くなります。材料費はもちろん、施工が特殊で難しいためトータル的なコストでみても割高になります。

2章でもお話させていただきましたが、費用が高いからといって必ず断熱効果が得られるわけではありません。

確実に断熱効果を得られたい場合、同じお金をかけるのであったら二重窓や内窓の設置をした方がコスパ的にも優秀であると思います。

5-2.色褪せや汚れがつきやすい

ガイナは主成分がセラミック粒子で出来ているため、表面は艶のないマットな仕上がりになります。

そのためザラついた質感となり、凸凹した表面に埃や排気ガスなどを吸着しやすく汚れがつきやすいといったデメリットがあります。

5-3.艶ありの仕上げができない

先程もお話させていただきましたが、成分的にガイナはどうしても艶有りの仕上げができない塗料です。

光沢のある艶仕上げがお好みの方やピカっと光る高級感のある外壁をお求めの方にとっては仕上がりが好みに合わない可能性があります。

艶のないマット仕上がりがお好みの方に向いている塗料です。

5-4.選べる色が少ない

ガイナは他の塗料に比べ選べる色が限られています。(約50色程度)

また、濃い黒や紺色などは熱吸収による塗膜の劣化が懸念されるため推奨されることが少なく実際は明るい淡い色を選ばれることが多いです。

そのため外壁の色にこだわりのある方や濃い色をご希望の方にはデメリットとなるかと思います。

5-5.施工が難しく品質に差が出やすい

ガイナは一般的な塗料とは異なり、特殊な技術が必要です。塗膜に含まれるセラミックビーズを分散させながら塗装をしないとムラや剥がれが起こるとされています。

また、塗膜が硬く伸びも悪いため、経験の少ない業者が塗装をすると仕上がりや品質に大きな差がでるため業者選びを慎重に行うことが大切です。

6.断熱塗料ガイナと他の塗料を比較してみました

ここまで断熱塗料ガイナについてお話してまいりましたが一方で「他の塗料と何がちがうの?」と疑問に思われる方も多いかと思います。

ガイナと代表的な遮熱塗料「サーモアイ」「アレスクール」との比較を表にまとめてみました。

性能 ガイナ(断熱+遮熱) サーモアイ・アレスクールなど(遮熱)
遮熱性能 高い 高い 
断熱性能  高い  なし
防音・防臭・結露  あり  なし
夏の快適性  高い  高い
冬の快適性 高い なし
色や艶感 艶なし・色は限られる 艶あり・色は豊富
費用 3500円/㎡~ 3000円~㎡

※そもそも遮熱と断熱ってなにがちがうの?
遮熱塗料…太陽光を反射して熱の発生を防ぐ。夏の室内温度上昇のみ効果あり
断熱塗料…熱の移動そのものを伝わりにくくする。夏も冬も効果あり

7.弊社のガイナでの施工事例

最後に弊社のガイナでの施工事例をご紹介したいと思います。

1.堺市のパナホームのお宅

こちらのお宅は堺市のパナホームのお宅です。こちらのお宅の場合、断熱目的ではなく道路からの騒音にお困りでしたのでガイナで外壁塗装を行いました。

塗装前(before)の様子

塗装後(after)の様子

 

詳しくはこちらの施工事例に掲載しております。ぜひご覧ください

堺市南区にて断熱塗料を使用した外壁塗装(パナホーム施工住宅)

2.河内長野市の屋根塗装事例

こちらのお宅では外壁はラジカル塗料で塗装されていますが、屋根をガイナで塗装されています。

塗装前(before)の様子

塗装後(after)の様子

詳しくはこちらの施工事例に掲載しております。ぜひご覧ください

8.まとめ

断熱塗料であるガイナは夏は涼しく冬は暖かい快適な環境をつくるだけでなく、エアコン代の節約や防音・防臭など多機能効果をもつ優れた塗料です。

しかし一方で価格が高く見た目の艶や色の自由度が少ない、施工に技術が必要で品質差もでやすいなどデメリットもございます。

全ての住宅に効果があるのではなく立地条件などにも大きく左右されるため期待していたほどの体感を得られないケースもあります。

実際に弊社でもガイナは基本的におすすめしていません。その理由は二重サッシや断熱材の強化など、より効果を感じやすい方法があるからです。

ロケットのように窓のない構造では効果を発揮しやすいですが、窓からの熱の出入りが大部分を占めており塗料による断熱には限界があるというのも事実です。

ですがガイナは決して悪い塗料ではありません!メリットデメリットを正しく理解したうえで選択することが重要であると思います!

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1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


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学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

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