外壁塗装にペンキはNG!外壁塗料とペンキのちがいやQ&Aまとめ

外壁塗装にペンキはNG!外壁塗料とペンキのちがいやQ&Aまとめ

「外壁の色褪せが気になってきたしそろそろ外壁塗装をしようかな」そんな風に思ったとき、ホームセンターやネットで手に入る「ペンキ」をつかって手軽にDIYしてみようと思われる方もいるかもしれません。

ですがちょっとおまちください!実はその「ペンキ外壁につかうのはおすすめできません!

多くの人が誤解しているのが「ペンキ=塗料」です。しかしンキと外壁用の塗料は成分の耐久性もまったく異なる別のものなのです。

こちらの記事ではなぜペンキで外壁塗装をしていはいけないのかを解説しながら、正しい知識と注意点をお伝えしていきます。DIYを検討している方もぜひご参考にご覧ください。

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監修者情報
監修者 榎本悟

榎本悟

一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


監修者 橋本卓哉

橋本卓哉

学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

1.「ペンキ=塗料」ではない!外壁塗装に使うべきは塗料

塗料とペンキ、一見同じもののように思えますが、実はこの2つには決定的な違いがあり役割や性能に大きな差があります。

1-1.ペンキと塗料の関係性

「ペンキ=塗料」ではありませんが、厳密にいえばペンキは「塗料」という大きなカテゴリの中の一種に含まれます。その塗料の中にはさまざまな種類があり用途や成分によって分類されます。

ペンキと塗料の関係性

上記の図のように「塗料」は大きなカテゴリであり、その中に「ペンキ」や「外壁塗塗料」など用途や性能によってさまざまな種類があります。

「ペンキ」は主に鉄部や木部などに使われる比較的安価な塗料でDIYや室内での使用に向いています。

「外壁塗料」は建物の外壁や屋根などに使われる高耐久・高機能な塗料です。さらにそれぞれの中でも細かく分類され、「ウレタン塗料」や「シリコン塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」など性能や価格に応じた種類があります。

1-2.ペンキと外壁塗料のちがい

実際のところ、「ペンキと外壁塗料ってなにがちがうの?」と疑問に思いますよね。実は見た目や塗り方は似ていても中身は全くちがうのです。

以下はペンキと外壁塗装に使用する塗料を比較した表です。

  ペンキ 外壁塗料
主な目的 色を付ける 外壁を保護し美観性も保つ
主成分 顔料+溶剤のみ 合成樹脂(シリコンやフッ素など)+顔料+添加剤
使用場所 室内・工作物・家具など 外壁・屋根・金属部・コンクリートなど
耐候性 低い(紫外線や雨に弱い) 高い(耐水・耐紫外線・耐汚染など)
耐用年数 約1~3年 約10年~30年(塗料による)
価格 中~高

ペンキは主に色をつけるだけの簡易的な塗装材料であり、工作や室内用のDIYに適したものです。紫外線や雨風の影響を受けやすい外壁には全く適していません。耐久性や外壁を守る保護機能も低いです。

一方外壁用の塗料は、高機能樹脂を主成分としたもので防水性や耐候性、防汚性、遮熱性などを兼ね揃え10年以上外壁を守ることができるように設計されています。

【結論】「ペンキ=色を塗るだけのもの」「塗料=外壁を守るもの」という明確なちがいがあるため、見た目だけでなくお住まいの寿命に直結するのは塗料の方だということがわかります。

1-3.外壁用ペンキと外壁塗料のちがい

ホームセンターやインターネットなどでもよく見かける「外壁用ペンキ」という表記…。一見「外壁用って書いてあるなら大丈夫だよね?」と思ってしまいますよね。

でも実は「外壁用ペンキ」と「外壁塗料」は似ているようでおおきな違いがあります。

■外壁用ペンキとは?

外壁用ペンキはDIY向けに販売されている簡易的な塗料です。確かに「外壁にも塗れる」性能はあるかもしれませんが、我々プロが使う外壁塗料とは耐久性・成分・仕上がりが全く異なります。

耐用年数は1~3年、紫外線や雨にさらされるとひび割れや剥がれが起こりやすくなります。主に一時的な補修や小面積のDIYを想定して造られたものです。

 

一方外壁塗料は、プロの業者が使用する高性能塗料で耐用年数は10~25年と長く耐候性にも優れています。「外壁用ペンキ」という名前に惑わされないことが大切です。

2.外壁塗装にペンキを使用してはいけない6つの理由

ペンキは工作や室内のちょっとしたところには手軽に使えて便利ですが、外壁塗装に使うと塗装後は綺麗だったとしてもすぐにトラブルが発生してしまいます。

ここではペンキが外壁塗装に不向きな根本的な理由をご紹介します。

2-1.耐久性が低いから(紫外線や雨に弱い)

外壁は1年中屋外にさらされている部分です。紫外線、雨風、雪、埃、排気ガスなどにさらされる過酷な環境です。

外壁用塗料はこのような環境に耐えられるよう紫外線に強い樹脂成分や防水性の高い添加剤が配合されています。

しかし一般的なペンキはこれらの成分を含まず屋外での使用を想定していない製品がほとんどです。そのため

・紫外線によって塗膜がすぐに劣化
・雨水を巣って膨れや剥がれが発生
・結果的に塗装後1~2年でぼろぼろに…

といったトラブルが起こりやすくなります。

ペンキは耐久性が低いから外壁塗装にNG

2-2.劣化の速度が速く耐用年数が極端に短いから

ペンキの耐用年数は製品にもよりますが1~3年程度です。一方で塗料の耐用年数は種類にもよりますが10~25年と大きな差があります。

ペンキと塗料の耐用年数グラフ

そのためペンキで外壁塗装をすると数年で再び塗り直しが必要になり手間も費用も二重にかかってしまいます。また、劣化がはじまると

・色褪せやひび割れ
・雨水の侵入による雨漏りや腐食のリスク

というように見た目の問題だけでなくお住まい全体の劣化スピードを速めてしまうリスクがあります。

2-3.乾燥時間が長く、施工トラブルが起きやすいから

ペンキは乾燥時間が長いというデメリットがあります。(2.3日かかる)塗料の場合3時間~1日程度で乾燥できます。

特に屋外での使用は乾燥しきる前に

・埃やゴミがついてしまう
・虫が塗膜に張り付く
・雨に降られて流れ落ちる

といったトラブルも少なくありません。

また、ペンキは密着性が弱く乾燥後にひび割れや剥離が起こりやすいという問題もありますので特に外壁のような広範囲に均一に塗るのは素人の方でも難しく技術が必要な作業です。

「乾きにくい」「均一に塗りにくい」こうした性質はDIYでの施工不良の原因となります。

2-4.ホームセンターのペンキは外壁用ではないことが多いから

ホームセンターのペンキは外壁用ではないことが多いからおすすめできない

ホームセンターなどで手に入るペンキの多くは「屋内用」「家具・工作用」であり「外壁」に適した製品ではありません。

ラベルに「外壁にも使える」と書いていたとしても実際にはプロが使う建築用塗料とは性能が大きく異なります。たとえば

・紫外線に対して弱くすぐに色褪せしてしまう
・雨風にさらされると塗膜の膨らみや剥がれが起きてしまう
・表面に着色するだけで建物を保護する機能がない

などは見た目はよくなったとしても外壁材そのものの寿命をのばせないデメリットがあります。

とくに安価なペンキ(アクリル系の水性ペンキなど)は耐用年数が非常に短いためすぐに劣化し再塗装が必要になります。

2-5.DIYでは施工不良や早期劣化が起こりやすいから

ペンキでの外壁塗装(DIY)では施工不良や早期劣化が起こりやすいから

外壁塗装は「ただ塗ればいい」だけではなく専門的な下地処理、下塗り・中塗り・上塗りによる3回塗り、乾燥時間の管理などといった多くの工程があります。

これを素人の方が自己流でやってしまうと以下のような施工不良の原因となります。

・下地処理をせずに塗ってすぐに剥がれた
・ムラになって色や塗膜が均一にならない
・十分に乾燥できず虫やゴミが塗膜に混ざった
・塗膜が薄くて雨水が染みこんでしまった
・足場を組まずに脚立で塗って怪我をした

外壁塗装では「塗る技術」はもちろん、「塗る前や塗った後の適切な処理」や「適切な環境」「適切な材料や道具」全てが合わさって成功に導きます。

これを素人の方が自宅で再現することは難しく、結果的に数年後に再工事が必要になるケースがほとんどです。手先に自信のある方であったとしても技術力と知識力はプロには劣ります。

2-6.以外と高くつき手間も時間もかかるから

「DIYなら安くすむ」と思っている方も多いかと思いますが、意外と高くつきます。塗料以外にも必要な材料を揃えていくとなおさらです。例えば

・ペンキ…安価なペンキでも一軒丸々塗装するには量が必要です。(1缶で約100㎡塗れるため、一般的な30坪 約160㎡のお宅で約2~3缶ペンキが必要)

・道具…ローラー、バケツ、ハケ、養生テープ、脚立などが必要

・時間…1日では不可能。休日が何日もつぶれる

・仕上がり…数年で剥がれて再塗装が必要となり結局は業者に依頼

特にDIYで失敗してしまった場合、その後の修理や再塗装に余計な手間と費用がかかることもあり、「こんなことなら最初からプロに頼めばよかった…」と後悔される方がほとんどです。

一般的な30坪のお宅をペンキでDIYした場合の費用

  費用相場 備考
ペンキ代
(約20l×2缶)
約14,000円~×2=28,000円 「アサヒペン水性シリコン多用途14L」を想定
ローラーやハケなどの道具 約5,000~10,000円 DIY初心者は全て揃える必要あり
養生用品 約3,000~5,000円 必須
脚立、足場レンタル 約10,000~20,000円 脚立は危険などで足場がおすすめ
時間 一日かかる 休日がつぶれる(複数必要)

合計:約46,000円~63,000円+時間+労力が必要。失敗する可能性も高いのでペンキの数が増え費用が嵩む場合も…。

プロの外壁塗装に比べると一見安く見えますが、仕上がりが不均一になったり2年ほどで再塗装が必要になる可能性が高く結果的に

・再塗装費用がさらにかかる
・それでも劣化して結局は業者に依頼→余分な費用がかかる

というケースが多いです。

■20年スパンでのコスト比較(30坪のお宅を想定

  ペンキ(DIY) プロによる外壁塗装
1回の費用 約60000円 約65万円
(足場等の共通工事費+塗装費用のみの価格)
回数 10回
(耐用年数2年のペンキを想定)
1回
(耐用年数20年の塗料を想定)
合計費用 約60万円 約65万円
作業の手間 時間も手間もかかる。安全性も低い プロが一括対応するので心配なし
耐久性・見た目 色あせや剥がれが起こりやすい 美観維持・長持ち
安全性 高所作業は自己責任 安全管理がされている

ペンキによる塗装は1回の費用は安いですが20年間で想定すると10回塗装する必要があり結果的に高くつきます。また、足場なしだと特に2階部分のムラが出やすく雨漏りリスクも上がるため負担が大きいです。

業者による外壁塗装は初期費用は高いですが「足場・高圧洗浄・下地処理・保証付き」で20年間安心です。

結論】初期費用の安さばかりに目を向けず長い目で考えると安心感と保護機能の高いプロによる外壁塗装を断然おすすめします!そもそもペンキに外壁を守る力はありません!!

3.外壁塗装とペンキに関するQ&A

ここではよく寄せられる不安や疑問についてQ&A形式でまとめました。

Q1.昔はペンキで外壁塗装をしていたって聞いたけど本当?

はい昔はペンキで外壁を塗るのが主流だった時代もありました。

特に昭和~平成初期までは油性ペン気がよく使われていました。

ただし当時の住宅は外壁も今よりシンプルで耐久性も求められておらず5年おきに塗り替えすることが当たり前でした。

現在は外壁自体の性能が上がり10~20年持つのが当たり前の時代になっています。そんな中でも昔ながらのペンキを使って塗装することのメリットはありません。

Q2.室内用ペンキと外壁塗料って何がちがうの?

最大のちがいは耐候性です。室内用ペンキは紫外線や雨、風、雪、結露、温度変化などを想定していないため屋外には不向きです。

一方で外壁用塗料はこれらの影響に強く屋外専用の設計になっているため同じ塗装でも根本的にちがうものなんです。

Q3.外壁にも使えるペンキって書いてるけど本当に大丈夫?

先程もお話しましたが、表示だけでは判断できません。必ず「建築用外壁塗料」であるかを確認する必要があります。

市販で売られている「外壁にもOK」と書かれたペンキは短期的な屋外使用には使えるかもしれませんが、プロ用の塗料と比べると性能差は歴然です。

たとえば

・塗膜の密着性や厚さ
・施工可能な温度や湿度
・耐候性、耐用年数のデータ

がまったく異なります。プロが使用する塗料にはJIS規格やF☆☆☆☆など性能評価がついており根拠もあります。

安易に「外壁にもOK」という表示だけで選ぶと失敗に繋がりかねません。

・JIS規格…品質・性能・安全性など国が定めた基準

 

・F☆☆☆☆…エフフォースター。塗料に含まれるホルムアルデヒドの放出量を示すランクで☆の数によって使用制限が異なります。☆4つはシックハウス対策に配慮した安全な材料として国が認定しています。

Q4.ペンキでDIYしたら将来的に補修してもらえなくなるって本当?

状況によっては本当です。特にDIYによる密着不良があると再塗装が難しいです。

外壁にDIYで塗ったペンキが剥がれ欠けていたり厚みが不均一だと、その上から塗料を使っても密着しない・塗膜が浮くなどのトラブルが生じます。

この場合、業者に依頼すると「全面的に古い塗膜(DIY)を剥がしてから塗り直し」という判断になりますが、手間も費用も加算されますので通常の塗装よりも高額になることもあります。

つまりDIYでの間違ったペンキ塗装が後々のメンテンナンスの妨げになるケースがあるのです。

Q5.外壁のひび割れペンキで隠してもいい?

ひび割れをペンキで隠したとしても見た目しか補修することはできません。

ひび割れは小さなひび割れでもそこから雨水が侵入すると雨漏りや腐食の原因になります。ペンキで上から隠しても雨水の侵入を完全に止めることはできません。しかもペンキ自体には防水性がないためかえって内部に水分や湿気がこもってしまう場合も…。

ひび割れには必ずコーキングや補修工事を行ってから塗装する必要があります。

Q6.チョーキング(白い粉)が出ている所にペンキを塗ってもいい?

粉の上にペンキを塗ったとしてもすぐに剥がれてしまうのでNGです。

チョーキング現象とは塗膜が劣化して顔料が表面にでてきている状態です。手で触ると白い粉がつくならすでに外壁の防水性は低下しているサインです。

この状態に上からペンキで塗装をしたとしても

・粉が邪魔をして密着しない(すぐに剥がれる)
・塗りムラやにじみが起こる
・耐久性がでない

といったトラブルに繋がります。正しい施工では、高圧洗浄機で粉を完全に除去し下塗り材で密着性を高め、中塗り上塗りで外壁を保護、防水性を向上させることが基本です。

4.まとめ

外壁塗装において「ペンキ」と「塗料」は似ているようでまったくの別物です。

見た目だけ綺麗に塗りつぶすペンキとお住まいを長期間守るために開発された高機能な塗料では、耐久性・防水性・安全性など大きな差があります。

特に外壁は紫外線や雨風などに晒されているためDIYや市販のペンキでの塗装はおすすめしません!

「少しでも手軽に安く済ませたい」という気持ちはわかりますが、大切なお住まいを守るためにも安全に後悔のしない選択をしましょう。

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監修者 榎本悟

榎本悟

一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


監修者 橋本卓哉

橋本卓哉

学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

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