FRP防水とは?特徴・費用・施工方法から知っておくべきことを解説

FRP防水とは?防水層の厚さで異なる費用や耐久性を解説

「FRP防水ってどんな防水工事なの」

「自宅はFRP防水での防水工事が適しているのか」

防水工事の見積書にFRP防水と記載されていて、以上のようなお悩みをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。

FRP防水とは、ガラス繊維で補強したプラスチック樹脂を使って行う防水工事です。船の船体やプールなどにも使われ、水に強い素材になります。FRP防水ではプラスチック樹脂を1層にするか2層にするかで、費用や耐久性が異なります。FRP防水の工法別や他の防水工事との違いを比較して解説いたします。

当コラムでご紹介する内容
  • FRP防水とは?
  • FRP防水の施工方法と費用相場
  • 他の防水工事・工法の違いを比較
  • FRP防水が向いているケース
  • FRP防水に関するQ&A

防水工事の違いを比較し、皆様のお住まいに合った防水工事をお選びいただきたいと思います。

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監修者情報
監修者 榎本悟

榎本悟

一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


監修者 橋本卓哉

橋本卓哉

石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者

学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

 

FRP防水とは?

FRP防水とは、ガラス繊維で補強したプラスチック樹脂を使って行う防水工事です。

もともとは船の船体やプールなど、水に強い素材として使われてきました。これを屋上やベランダ・バルコニーに使用することで、防水性や強度の高い仕上がりになります。

FRP防水は軽量で施工後すぐに硬化する為、工期が短く生活への影響も少なく済みます。

FRP防水の特徴

FRP防水の特徴

FRP防水の「FRP」とは、繊維強化プラスチックの略になります。身近なものだと、自動車のバンパーや船の船体・浴槽などにも使われている硬くて丈夫な素材です。

このFRPを使って形成する防水層は、塗装のように樹脂を塗り広げて施工します。つなぎ目のない一体化した仕上がりになり、シートを貼る工法と違って段差が出にくく見た目もすっきりします。

また、材料が軽量で建物への負担も少なく、ベランダやバルコニーなどでよく採用されています。ただし、硬くて伸びにくい性質がある為、面積の広い場所や揺れが多い建物にはあまり向いていません。

FRP防水のメリット・デメリット

FRP防水のメリット・デメリット

FRP防水のメリット・デメリットがこちらになります。

FRP防水のメリット
  • 軽量で建物への負担が少ない
  • 耐久性が10年以上と高い
  • 歩いたり物を置いても傷みにくく強度が高い
  • 一体化した仕上がりで見た目がきれい

 

FRP防水のデメリット
  • 伸縮に弱くひび割れが起きやすい
  • 樹脂の独特な臭いが強い
  • 湿気の押し上げによる防水塗膜のめくれや割れが発生しやすい
  • 職人の技術によって仕上がりに差が出やすい

FRP防水は建物への負担が少なく強度の高い反面、伸縮に弱くひび割れリスクが高いとお考えいただきたいと思います。

FRP防水の工法は2つ

FRP防水には、1プライ工法と2プライ工法の2種類があります。このプライというのは、ガラスマットを樹脂で固める層の回数を指します。

▼FRP防水の工法▼

工法 説明
1プライ工法 ガラスマットを1層だけ張る工法で、施工が早く費用も安い
2プライ工法 ガラスマットを2層重ねて張る工法で、層が厚くなり強度や耐久性がアップする

一般的な住宅のベランダであれば、1プライ工法で十分かもしれません。しかし、「人の出入りが激しい」「物置を設置したい」などの場合は、2プライ工法でより強度を高めると安心です。

1プライ工法と2プライ工法のどちらを選ぶか、判断目安を表にしたのがこちらになります。

▼1プライ工法と2プライ工法の選び方の目安▼

項目 1プライ工法 2プライ工法
コスト
耐久性
歩行に対する強さ
荷重への強さ
向いているケース 一般的な住宅 人の出入りが多い場所

以上の選び方を目安にしていただき、住宅に合ったFRP防水の工法をお選びいただきたいと思います。

FRP防水の施工方法と費用相場

前項でご紹介した、FRP防水の工法別の施工方法と費用相場について解説いたします。

FRP防水の1プライ工法と2プライ工法では、施工方法に大きく違いはありません。2プライ工法の工程に、「ガラスマット張り+ポリエステル樹脂塗布+脱泡」の工程が増える仕組みになります。

▼FRP防水の施工方法▼

1プライ工法 2プライ工法
下地処理(ケレン作業)
下地処理(ケレン作業)
下地処理(ケレン作業)
下地処理(ケレン作業)
下地処理(モルタル塗り)
下地処理(モルタル塗り)
下地処理(モルタル塗り)
下地処理(モルタル塗り)
プライマー塗布
プライマー塗布
プライマー塗布
プライマー塗布
ガラスマット張り
ガラスマット張り
ガラスマット張り
ガラスマット張り
ポリエステル樹脂塗布
ポリエステル樹脂塗布
ポリエステル樹脂塗布
ポリエステル樹脂塗布
脱泡
脱泡
脱泡
脱泡
トップコート塗布
トップコート塗布
ガラスマット張り
ガラスマット張り
FRP防水の完成
完成
ポリエステル樹脂塗布
ポリエステル樹脂塗布
  脱泡
脱泡
  トップコート塗布
トップコート塗布
  FRP防水の完成
完成
FRP防水の費用相場
  • 1プライ工法=5,000円~/㎡(10㎡以内一式価格=100,000円~)
  • 2プライ工法=7,500円~/㎡(10㎡以内一式価格=150,000円~)

※以上の費用相場はあくまでも目安で、劣化状況や㎡数などによって費用は変動します

また、色褪せなどの軽微な劣化だけで防水層自体に問題がない場合は、トップコート塗布のみで保護することも可能です。トップコートを塗布して保護すると、防水層の劣化を防ぎ長持ちさせることができます。

FRP防水のトップコート塗布の費用相場
  • トップコート塗布のみの工事の場合=50,000円~/式
  • 外壁塗装と同時施工の場合=30,000円~/式

他の防水工事・工法の違いを比較

防水工事はFRP防水工事以外にも種類があります。

▼防水工事の種類▼

防水工事の種類 写真
FRP防水 FRP防水
塩ビシート防水 塩ビシート防水
ウレタン防水 ウレタン防水

FRP防水・塩ビシート防水・ウレタン防水の防水工事別での比較表がこちらになります。

▼防水工事別の比較表▼

項目 FRP防水 塩ビシート防水 ウレタン防水
施工時の臭いの少なさ
コスト
耐久性
乾燥の速さ
施工場所の柔軟性
紫外線への強さ
工期の短さ
住宅への負担(重量)

以上のように防水工事の種類別で見るとFRP防水の価格は安価ですが、耐久性は塩ビシート防水に劣ってしまいます。しかし、防水工事では工法によって価格や耐久性が異なる為、防水工事の工法別で比較して違いを理解する必要があります。

それぞれの防水工事の工法別での比較表がこちらになります。

▼防水工事の工法別の比較表▼

項目 FRP防水 塩ビシート防水 ウレタン防水
1プライ
工法
2プライ
工法
密着工法 絶縁工法 密着工法 クロス
工法
通気緩衝
工法
耐久性
防水層の強度
ひび割れ
追従性
下地劣化
の影響度
×
膨れや剥がれ
にくさ
施工の手間
の少なさ
× × ×
コスト
工期の短さ
乾燥の速さ
紫外線への
強さ

防水工事別で比較したのに対して工法別で比較すると、耐久性やコストなどに違いが生じます。

そのため、防水工事の種類だけでなく工法の違いを理解し、自宅に合った防水工事の施工をご検討いただきたいと思います。

FRP防水が向いているケース

FRP防水の施工が向いているケースをご紹介いたします。

▼FRP防水が向いているケース▼

判断ポイント おすすめの工法
工期を短くして生活への影響を少なくしたい 1プライ工法
できるだけ費用を抑えたい 1プライ工法
重い荷物を置く可能性がある 2プライ工法

以上の内容について解説いたします。

工期を短くして生活への影響を少なくしたい

工期を短くしたい

防水工事の工期を短くしたい場合は、FRP防水がおすすめです。

FRP防水で使用する樹脂が短時間で硬化する為、乾燥が早く工期が他の防水工事よりも短く2日ほどで完成します。そのため、ベランダやバルコニーなど日常的に使用する場所でも、工事による生活への影響を最小限に抑えられます。

こんなケースにおすすめ
  • 工事中でもベランダをなるべく使いたい
  • 人が出入りする期間を短くしたい
  • 工事中の不便を少なくしたい

できるだけ費用を抑えたい

できるだけ費用を抑えたい

できるだけ費用を抑えたい場合は、FRP防水の1プライ工法がおすすめです。

FRP防水の1プライ工法は、ガラスマット1層とポリエステル樹脂塗布の施工になります。このため、他の防水工事に比べて施工費用が抑えやすくなります。

こんなケースにおすすめ
  • 費用をなるべく抑えて防水工事をしたい
  • 費用を抑えたいが強度は欲しい

FRP防水の状態を良好に保つには、定期的なトップコートの塗り直しもご検討いただきたいと思います。

重い荷物を置く可能性がある

FRP防水工事後に重い荷物を置く可能性がある

防水工事後に将来的に重い荷物を置く可能性がある場合は、FRP防水がおすすめです。

FRP防水は耐衝撃性や耐摩耗性に優れた特性を持っています。ガラス繊維と樹脂の組み合わせで、高い強度を発揮します。

2プライ工法の施工で耐久性や衝撃への強さがアップし、荷重にも安心して対応できます。ベランダに重い物を置いたり、物置を設置する場合などにも十分に対応可能です。

こんなケースにおすすめ
  • ベランダに物置や植木鉢を置きたい
  • 人の出入りが多く床に負担がかかりやすい

FRP防水に関するQ&A

FRP防水に関する疑問をQ&Aでご紹介いたします。

FRP防水工事後に水ぶくれがあるが問題ない?

水ぶくれが長く続く場合は施工不良の可能性もあり

A:長く続くようなら施工不良の可能性もあります

長く続く場合や水ぶくれが広がる場合は、施工不良や下地劣化の可能性があるため注意が必要です。

下地に湿気が残っていたり、プライマーの乾燥が不十分で次の工程に進んだことが原因で起こります。そのまま放置すると水ぶくれが破れて防水機能の低下や、内部に雨水が浸入し建物の構造を傷める可能性があります。

水ぶくれが1週間以上続く・広がる・水が染みる場合は、早めに施工業者に連絡して点検してもらいましょう。

小さな水ぶくれで施工後の数日~1週間以内で自然に消える場合は、大きな問題はないとお考えいただきたいと思います。

FRP防水の耐用年数はどれくらい?

FRP防水の耐用年数は10~15年

A:10~15年が目安になります

この期間は、立地環境や使用状況・定期的なメンテナンスの有無によって大きく変わります。表面のトップコートは、紫外線から防水層を守る役割があります。そのため、トップコートの剥がれや劣化で、防水層の劣化が進行するとお考えいただきたいと思います。

防水層の寿命を延ばすためには、5~7年を目安にトップコートの塗り直しを行うのが重要です。

FRP防水の工事期間はどれくらい?

FRP防水の工期は2日が目安

A:2日が目安です

一般的なベランダやバルコニーの広さであれば、2日程度で施工が完了するとお考えいただきたいと思います。

ただし、これはあくまで目安になります。下地の劣化が進行し補修が必要な場合や、天候が不安定で作業が中断される場合はさらに日数がかかる可能性もあります。

既存のFRP防水層にトップコートを塗っただけで大丈夫?

防水層が劣化していない場合はトップコート塗布のみでOK

A:防水層の状態によります

FRP防水の表面がしっかりしていてひび割れや剥がれがほとんどない場合は、トップコート塗布のみで防水性を維持できます。

しかし、膨れ・ひび割れ・下地の劣化がある場合は、再度防水工事を施工する必要があります。剥がれなどを放置すると防水層が露出してしまい、防水機能が失われてしまいます。

自分で確認して、「表面がボコボコしている」「水が染みている」と感じたらトップコートだけでは不十分かもしれません。トップコート塗布のみでいいかどうかは業者に点検してもらい、プロに判断してもらうのが重要です。

既存がFRP防水層なら再びFRP防水でないとダメ?

既存がFRP防水なら次回もFRP防水が基本です

A:原則としては、既存FRPの上にFRP防水を施工するのが基本です

FRPは表面が硬く密着しやすい為、下地との相性が良く一体感のある仕上がりになります。

しかし、ひび割れが起こりやすいというFRP防水の弱点は変わりません。そのため、既存のFRP層の劣化が激しい場合は、撤去して新規FRP防水を行う場合もあります。

劣化が少なければ重ね張り、劣化が激しければ撤去して再施工になるとお考えいただきたいと思います。

まとめ

FRP防水とは、ガラス繊維で補強したプラスチック樹脂を使って行う防水工事です。船の船体やプールなどにも使われ、水に強い素材になります。

FRP防水の費用は比較的安価で、工期が短く済みます。防水機能と強度を確保したい方には、ぴったりの防水工事になります。

FRP防水の工法は2つあります。

FRP防水の工法2つ
  • 1プライ工法=ガラスマットを1層だけ張る工法
  • 2プライ工法=ガラスマットを2層重ねて張る工法

耐久性やコストなどを比較し、ご自宅に合った工法をお選びいただきたいと思います。

南大阪ペイントセンターでは、FRP防水の施工実績が多数ございます。FRP防水は施工の大部分が手作業で行う工事の為、職人の技術によって仕上がりが左右されます。

南大阪ペイントセンターには、専門知識を持った経験豊富な職人が在籍しております。FRP防水をご検討のお客様は、ぜひ一度南大阪ペイントセンターにご相談ください。

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一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


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石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者

学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

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