ベランダ防水工事の種類・費用・特徴と押さえるべき依頼時の注意点

ベランダ防水工事の種類・費用・特徴と押さえるべき依頼時の注意点
「ベランダ防水工事は本当に必要?」
「どういった工事方法があるのか」
といった疑問はありませんか。

ベランダ防水工事は、雨漏りや建物の劣化を防ぐために不可欠なメンテナンスです。

実際に防水層のひび割れから雨水が侵入し、下の階の部屋で雨漏りが発生するケースも少なくありません。

こちらのページで分かること

・ベランダ防水工事の必要性
・3つの防水工事の特徴と費用
・トップコートだけでは防水工事にならない理由
・防水工事と塗装工事のタイミング
・実際のベランダ防水工事の施工例

大切なお住まいを長持ちさせるために、正しい知識を身につけ雨漏りなどのトラブルを未然に防ぎましょう!

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監修者情報
監修者 榎本悟

榎本悟

一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


監修者 橋本卓哉

橋本卓哉

雨漏り診断士
学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

1.ベランダ防水工事とは?

ベランダ防水工事のビフォーアフター
ベランダ防水工事とは、ベランダから雨水の侵入を防ぐための工事です。

ベランダは常に雨風にさらされるため、防水が不十分ですとベランダの床から雨水が染みこみ雨漏りの原因になります。

基本的に建築時にベランダには防水工事が施されていますが、経年や環境など様々な要因によって防水層が劣化していきます。
定期的にベランダ防水工事を行うことで、ベランダからも雨漏りを予防し住宅の寿命を延ばすことにつながります。

住宅のメンテナンスをする上で、ベランダ防水工事は欠かせない工事なのです。

2.ベランダ防水工事の3つの種類

ベランダ防水工事の種類
ベランダ防水工事には大きくわけて3種類あります。

以下の比較表にまとめました。

※右スクロールですべての内容をご覧いただけます。

工事方法 費用 耐用年数 工期 メンテフリー メリット デメリット おすすめの住宅
塩ビシート防水 高い 15-20年 2~3日 高耐久 機械音がする
(絶縁工法のみ)

施工できる業者が少ない
ハウスメーカー
FRP防水

安い

10-15年 2日 軽量で建物への負担が少ない 割れやすい コンパネ下地
ケイカル下地
コンクリート下地
既存ベランダがFRP防水
ウレタン防水 安い

5-7年 3~4日 どんな下地でも施工可 仕上がりは職人の腕に左右される 複雑な形状のベランダ

現在ベランダにどの防水工事が施工されているかの見分け方については、以下のフローチャートに沿ってご確認いただけます。

ベランダの防水工事の見分け方フローチャート

2-1.塩ビシート防水

塩ビシート防水
塩ビシート(塩化ビニルでできたシート)を貼り付けて、防水層を作る防水工事です。

「シートを敷く」タイプの防水なので、施工スピードが早く、広い面積でも短期間で仕上がるという特長があります。

塩ビシート防水には以下の2つの工法があり、それぞれ費用が異なります。

工法 費用 1㎡あたり
密着工法 12,000~
絶縁工法(機械固定工法) 13,200円~

3種類の防水工事の中で最も耐用年数が長く、耐久性にも優れているのが大きなメリットです。
実際に大手ハウスメーカーのベランダや屋上で多く使われている実績もあり、信頼性の高い工法と言えるでしょう。

塩ビシート防水のメリット・デメリット

メリット
  • 防水工事の中で圧倒的な耐久性(約15~20年)
  • 湿気による押し上げに強く、防水層が浮きにくい
  • 下地の劣化状態に関わらず施工できる
  • 定期メンテナンス不要
デメリット
  • 施工金額が高額(1㎡あたり12,000~15,600円)
  • シートを繋ぎ合わせるので、継ぎ目がある(シームレスではない)
  • 専門の機械や知識が必要なので、施工業者が少ない
  • 機械固定工法は、施工時に音がする

塩ビシート防水【密着工法】の施工内容

塩ビシートを接着剤を使用して貼り付ける工法です。

接着剤で貼り付けるという特性上、下地と塩ビシートの間に通気性がないので稀に浮きが発生する場合があります。
しかし、塩ビシート自体の強度が非常に高い為、破れてしまう心配はありません。

絶縁工法の場合でも、立ち上がり部分については密着工法で施工を行います。

下地処理(ケレン)

①下地処理(ケレン)

プライマー塗布

②プライマー塗布

塩ビシート敷設

③塩ビシート敷設

改修用ドレン取り付け

④改修用ドレン取り付け

金物取り付け

⑤金物取り付け

塩ビシート溶着

⑥塩ビシート溶着

FLシール打設

⑥FLシール打設

立ち上がりコーキング打設 

⑦立ち上がりコーキング打設 

塩ビシート防水完成

⑧完成

 

塩ビシート防水【絶縁工法】の施工内容

「絶縁シート」と呼ばれる下地と塩ビシートを完全に遮断するシートを挟み、施工する工法です。

塩ビシートの固定には接着剤は使用せず、専用の機械で塩ビシートと下地を等間隔で固定させます。
接着剤を使わないことから、下地と塩ビシートの間に通気性ができるので湿気による押し上げを防ぎます。

機械で固定をする為、ほとんど下地の亀裂や劣化の影響を受けることなく施工が可能ですが、下地に機械を打ち込む振動音がするので大きな音でご迷惑をおかけします。

下地処理(ケレン)

①下地処理(ケレン)

絶縁シート敷設

②絶縁シート敷設

ディスク取り付け

③ディスク取り付け

金物取り付け

④金物取り付け

改修用ドレン取り付け

⑤改修用ドレン取り付け

塩ビシート敷設

⑥塩ビシート敷設

塩ビシート溶着

⑥塩ビシート溶着

FLシール打設

⑦FLシール打設

ディスク圧着

⑧ディスク圧着

立ち上がりコーキング打設 

⑨立ち上がりコーキング打設

塩ビシート防水完成

⑩完成

 

▼塩ビシート防水について詳しく掲載▼
塩ビシート防水完全解説!工法ごとの費用公開【一級塗装技能士解説】

2-2.FRP防水 

FRP防水 
FRP(繊維強化プラスチック)は樹脂にガラス繊維などを複合して強度を高めた強度プラスチックです。
身近な例ですと、浴室の浴槽や船の船底にも使用されている素材ですので、その強度の高さが伺えますね。

強度と防水性の高さから、最近の戸建ては建築時にFRP防水が施工されていることが多いです。

工法 費用 10㎡以内一式価格
1ply工法 100,000円

FRP防水の断面
1ply(プライ)の場合は上記のような断面です。

もし2plyであれば「ガラスマット+ポリエステル樹脂」が2つ分重なって施工される仕組みです。

FRP防水のメリット・デメリット

メリット
  • 軽量で建物への負担が少ない
  • 強度が高い(屋上駐車場で使用されているほどの耐久性)

デメリット
  • 施工時に独特の臭いがする
  • 硬い反面、ひび割れには弱い
  • 湿気の押し上げによる、防水塗膜の浮きが発生しやすい
  • 定期的なトップコート塗り直しのメンテナンスが必要

FRP防水の施工内容

下地処理(ケレン)

①下地処理(ケレン)

下地処理(モルタル塗り)

②下地処理(モルタル塗り)

プライマー塗布

③プライマー塗布

ガラスマット張り

④ガラスマット張り

ポリエステル樹脂塗布

⑤ポリエステル樹脂塗布

脱泡

⑥脱泡

トップコート塗布

⑦トップコート塗布

FRP防水完成

⑧完成

▼FRP防水について詳しく掲載▼
FRP防水とは?写真付きの施工内容と特徴【一級塗装技能士解説】

2-3.ウレタン防水

ウレタン防水は3種類の防水工事の中でも、最も安価な防水工事です。

特徴としてはウレタン塗料による防水工事なので、複雑な形状の下地や凹凸がある場合でも、問題なく施工が可能です。

ウレタン防水には以下の3つの工法があり、それぞれ費用が異なります。

工法 費用 10㎡以内一式価格
密着工法 100,000円
クロス工法 110,000円
通気緩衝工法 120,000円

ウレタン防水のメリット・デメリット

メリット
  • 防水工事の中で一番安価で施工可能
  • 複雑な形状の下地にも施工可能
デメリット
  • 他の防水工事と比べると耐久性が低い(約5~7年)
  • 塗装による防水なので仕上がりが職人の腕に左右される
  • 湿気の押し上げによる、防水塗膜のめくれや割れが発生しやすい
  • 定期的なトップコート塗り直しのメンテナンスが必要

ウレタン防水【密着工法】の施工内容

ウレタン防水の中で一番シンプルな工程です。

下地処理(ケレン)

①下地処理(ケレン)

下地処理(モルタル塗り)

②下地処理(モルタル塗り)

プライマー塗布

③プライマー塗布

ウレタン樹脂塗布(1層目)

④ウレタン樹脂塗布(1層目)

ウレタン樹脂塗布(2層目)

⑤ウレタン樹脂塗布(2層目)

トップコート塗布

⑥トップコート塗布

ウレタン防水完成

⑦完成

 

ウレタン防水【クロス工法】の施工内容

補強用のクロスシートを取り付ける工法です。

下地処理(ケレン)

①下地処理(ケレン)

下地処理(モルタル塗り)

②下地処理(モルタル塗り)

プライマー塗布

③プライマー塗布

クロスシート張り

④クロスシート張り

ウレタン樹脂塗布(1層目)

⑤ウレタン樹脂塗布(1層目)

ウレタン樹脂塗布(2層目)

⑥ウレタン樹脂塗布(2層目)

トップコート塗布

⑦トップコート塗布

ウレタン防水完成

⑧完成

ウレタン防水【通気緩衝工法】の施工内容

ウレタン防水では、下地から上がってくる湿気によって塗膜がめくれたり、割れたりするトラブルが起こることがあります。
こうしたトラブルを防ぐために使われるのが、通気緩衝工法です。

この工法ではメッシュ状の通気緩衝シートを下地に貼り付け、湿気の逃げ道となる空間を作ります。
その上にウレタン防水を施工し、脱気筒(だっきとう)と呼ばれる部材を使って、たまった湿気を屋外に逃がします。

下地処理(ケレン)

①下地処理(ケレン)

下地処理(モルタル塗り)

②下地処理(モルタル塗り)

プライマー塗布

③プライマー塗布

通気シート張り

④通気シート張り

脱気筒取り付け

⑤脱気筒取り付け

ウレタン樹脂塗布(1層目)

⑥ウレタン樹脂塗布(1層目)

ウレタン樹脂塗布(2層目)

⑥ウレタン樹脂塗布(2層目)

トップコート塗布

⑦トップコート塗布

ウレタン防水完成

⑧完成

 

▼ウレタン防水について詳しく掲載▼
ウレタン防水工事とは?施工内容と工法別の特徴を解説

3.ベランダ防水層へのトップコート塗布は防水工事ではない

ベランダトップコート塗布
業者の見積書に「ベランダ床トップコート」といった内容の表記はありませんか?

「トップコートを塗れば防水工事になる」と思われがちですが、トップコート塗布は防水工事そのものではありません。

防水工事とトップコートの違いがわかる見積書
上記は、実際に弊社でお客様にお出しした見積書です。

赤枠で囲まれた「ベランダ床トップコート」の工事項目は、防水層の劣化を防ぐためのメンテナンスとして行うもので、防水機能はありません。

一方、青枠で示された「塩ビシート防水」こそが、建物内部への雨水の浸入を防ぐ本格的な防水工事です。

トップコートと防水層の違い
トップコートが使われるのは、FRP防水ウレタン防水の防水層の上に塗るケースがほとんどです。
「ポリエステル樹脂」や「ウレタン樹脂」などの防水層がベースになっていて、トップコートはそれらを紫外線や雨風から守る仕上げ材です。

つまりトップコートには防水性能はなく、単体で雨漏りを防げるものではありません。

ベランダ防水の提案を受けたときは、以下の点を確認しましょう。

  1. トップコート塗布だけなのか?
  2. 防水層の改修を含む防水工事なのか?

トップコートだけを塗っても、防水層が傷んでいれば雨漏りは防げません。

メンテナンスとしてのトップコート塗布か防水工事か、業者にしっかり確認しておきましょう!

4.べランダ防水工事は足場が不要なので無理に外壁塗装と同時にする必要はない

ベランダ防水工事
防水工事と外壁塗装は同時にする必要はありません。

なぜかというと、ベランダ防水工事には基本的に足場が必要ないからです。

外壁塗装を検討している際に「足場を組むならベランダ防水を同時に施工しましょう」といった提案があるかもしれません。
もちろん同時施工には単体で防水工事を依頼するよりも、値引きしてくれる可能性や手間が省けるといったメリットもあります。

工事時期でないのに無理に防水工事をやり直す必要はないのです。

しかし以下に当てはまる場合は防水工事のタイミングかもしれません。

  • ベランダの床や天井に雨漏りの跡がある
  • ベランダにひび割れや色褪せがある
  • 外壁塗装を数年後に検討

「今すぐ防水工事をしたいけど、外壁塗装はまだ早いかな」という方も、ベランダ防水工事だけでも問題なく行えますのでご安心ください!
実際にベランダ防水のみでご依頼いただいた事例も多数ありますので、次項で実例を紹介いたします。

5.実際のベランダ防水工事の施工例

南大阪ペイントセンターでは戸建て住宅・大手ハウスメーカー・マンションなど様々な建物のベランダ防水工事を施工してまいりました。

「ベランダ防水工事のみ」や「外壁塗装+ベランダ防水工事」といった様々なパターンがあります。
以下にピックアップして紹介いたします。

5-1.【塩ビシート防水|23万円17㎡】積水ハウスにベランダ防水工事

5-2.【塩ビシート防水|16万円4.5㎡】大和ハウスにベランダ防水工事

5-3.【塩ビシート防水|27万円13㎡】ベランダ防水工事で築50年住宅の雨漏り改善

5-4.【ウレタン防水|10万円11㎡】外壁塗装と同時施工

6.ベランダ防水工事なら南大阪ペイントセンターへおまかせください!

南大阪ペイントセンターの防水工事
ベランダ防水工事をお考えなら南大阪ペイントセンターにおまかせください!

防水工事はベランダの下地や建物の構造によって最適な工法が異なる非常に専門的な分野です。

そのため確かな知識と経験を持つ業者選びがとても重要です。

たとえば経年劣化でベランダ下地に水分が多く含まれている場合、ウレタン防水(密着工法)をすると下地からの湿気による押し上げで膨れの原因になります。
このようなケースでは、湿気を逃がす空間を設けるウレタン防水(通気緩衝工法)の方が効果的です。
通気シートで湿気への対策ができ、膨れの原因を作らず防水層を長持ちさせます。

同じ築年数、同じ構造の住宅であっても、ベランダ下地に水分が含まれているか否かによって適切な工法が変わります。

誤った提案をしてしまうと防水層の早期劣化につながり、結果として建物の寿命を縮めてしまいます。

南大阪ペイントセンターでは実際のお住まいの状態を丁寧に確認して、お住まいの状況に最も合った防水工事をご提案しています。
「この工法で大丈夫?」「費用はどれくらい?」といった不安や疑問も、お気軽にご相談ください!

7.まとめ

「我が家のベランダは大丈夫かな?」
そんなご不安はありませんか?
ベランダ防水工事は見た目では分かりづらいですが、放っておくと雨漏りや建物の劣化に直結する大事なメンテナンスです。

防水工事には塩ビシート防水・FRP防水・ウレタン防水といった複数の方法があり、それぞれの特長や適した条件があります。
「トップコートだけ塗れば大丈夫!」といった誤解もまだまだ多いので注意しましょう。

南大阪ペイントセンターでは、実際のお住まいを見て最適な防水工事をご提案しています。
「そろそろメンテナンス時期かな?」といったご不安があれば、お気軽にご相談いただけますと幸いです!

監修者情報
監修者 榎本悟

榎本悟

一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。


監修者 橋本卓哉

橋本卓哉

雨漏り診断士
学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。

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