外壁塗装の塗料選び、とっても悩みますよね。
そんな塗料選びで近年注目を浴びているのが「ラジカル塗料」です。
あまり聞きなじみのない方もいらっしゃるかと思いますが実は、耐久性とコストパフォーマンスのバランスに優れ最近多くのお宅で採用されている塗料なんです。
こちらの記事ではラジカル塗料の特徴やメリットデメリット、費用や施工事例などについてお話していきたいと思います。

榎本悟
一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。

橋本卓哉
学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。
1.ラジカル塗料とは?
1-1.ラジカル塗料の特徴
1-2.ラジカル塗料の費用相場は2500円/㎡~
1-3.他の塗料と徹底比較
2.ラジカル塗料のメリット5選
2-1.優れた耐久性でチョーキング現象やカビも起きにくい
2-2.艶を維持し変色しにくい
2-3.コスパが良い
2-4.幅広い素材に使用できる
2-5.伸びがいいので塗りやすい
3. ラジカル塗料のデメリット3選
3-1.まだ歴史が浅い
3-2.施工経験のない業者がいる
3-3.塗料によって品質の差がある
3-4.フッ素塗料や無機塗料ほどの耐久性はない
3-5.濃色を選べない場合がある
4.ラジカル塗料での外壁塗装をおすすめしたい方
4-1.コスパの良い塗料を選びたい方
4-2.外壁のチョーキングを防ぎたい方
4-3.紫外線に強い塗料で美観維持したい方や南向きの外壁の方
4-4.新しい技術を使ってみたい方
5.おすすめのラジカル塗料ランキング
6.弊社のラジカル塗料で外壁塗装をした施工事例
7.まとめ
1.ラジカル塗料とは?
1-1.ラジカル塗料の特徴
ラジカル塗料は「ラジカル制御型塗料」と呼ばれる特殊な成分が、外壁の劣化の原因である「ラジカル」を抑制する機能を持ちます。
ラジカルとは、紫外線の影響によって塗膜に含まれる酸化チタンから発生する劣化要因で、外壁塗装が粉をふいたように白くなる「チョーキング現象」の主な原因です。
ラジカル塗料は抗耐候酸化チタンや光安定剤を配合しており、ラジカルの発生を抑えることができます。そのため通常の塗料よりも美観性を長く維持でき劣化しにくい特徴をもちます。
・光安定剤…発生したラジカルを封印して無害化する
・高耐候酸化チタン…紫外線の侵入を防いでラジカルの発生自体を抑える
耐用年数は12~15年程度です。
1-2.ラジカル塗料の費用相場は2500円/㎡~
ラジカル塗料の費用相場は2500円/㎡~です。36坪(塗装面積196㎡)のお宅であれば490,000円~が目安となります。(使用するメーカーによって変動あり)
従来の塗料に比べ耐久性が優れているのに、リーズナブルな価格設定となっているため「コスパの良い塗料」として注目されています
塗料名 | 耐久年数 | 費用相場 |
シリコン塗料 | 7~12年 | 約2300円/㎡~ |
ラジカル塗料 | 12~15年 | 約2500円/㎡~ |
フッ素塗料 | 15~20年 | 約3200円/㎡~ |
無機塗料 | 15~25年 | 約3500円/㎡~ |
1-3.他の塗料と徹底比較
ラジカル塗料は耐久性・コスト・仕上がりのバランスが良く人気が高まってきています。しかしラジカル塗料はまだ登場から10年程度と歴史は浅いため今後の主流塗料になるとされています。
塗料名 | 耐久年数 | 費用相場 | 36坪(塗装面積196㎡の塗装金額) | チョーキング抑制力 | 美観維持力 | 歴史 | 普及率 |
シリコン塗料 | 7~12年 | 約2300円/㎡~ | 450,800円 | △ | 〇 | ◎ | ◎ |
ラジカル塗料 | 12~15年 | 約2500円/㎡~ | 490,000円 | ◎ | ◎ | △(10年程度) | 〇(増加中) |
フッ素塗料 | 15~20年 | 約3200円/㎡~ | 627,200円 | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
無機塗料 | 15~25年 | 約3500円/㎡~ | 686,000円 | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
上記の表を見ても分かる通り、全てにバランスの取れた塗料でちょうど真ん中のグレードであることがわかります。
2.ラジカル塗料のメリット5選
ラジカル塗料は耐久性やコストパフォーマンス、仕上がりや美観性など多くの面でバランスが良い塗料です。ここでは実際にラジカル塗料を選ぶメリットを5つにわけてお話していきたいと思います。
2-1.優れた耐久性でチョーキング現象やカビも起きにくい
先程もお話させていただきましたが、ラジカル塗料には「ラジカル」という塗膜を傷める原因を抑制する成分が入っています。
例えば、「抗耐候酸化チタン」や「光安定剤」といったものです。これらの成分が入っていることで、塗装の表面が長持ちしやすく外壁に手を触れたときに白い粉がつく「チョーキング現象」が起こりにくくなります。
さらに、カビやコケも発生しにくくなるため、見た目がきれいな状態を長く保てるのもポイントです。
こういった成分は、ラジカル塗料より下のグレードの塗料には入っておらず、どうしても劣化が早くなってしまいます。一方、ラジカル塗料より上のグレードの塗料には同成分が入っているうえ、さらに耐久性を高める工夫もされています。
2-2.艶を維持し変色しにくい
ラジカル塗料は紫外線や雨の影響を受けにくく塗装表面の艶が長持ちしやすいのも大きなメリットです。
従来の塗料では時間が経過すると共に艶が失われていくことが一般的でしたが、ラジカル塗料は光安定剤などの成分が含まれますので光による変色を抑制することができます。
2-3.コスパが良い
ラジカル塗料は、価格と性能のバランスが非常に良い塗料です。例えばシリコン塗料と価格はそれほど変わらないのに耐久性はシリコン塗料よりも優れています。
つまり、多少価格が上がってしまっても再塗装の頻度を減らすことができるため結果的にトータルコストは安くなるのです。
例:30年間で外壁塗装をしたシミュレーション
・ラジカル塗料(15年耐久×2回塗装)
490,000円×2回=980,000円
・シリコン塗料(10年耐久×3回塗装)
450,800円×3回=1,352,400円
結果:ラジカル塗料の方が約37万円お得になります。塗装の回数が少なく済む分、足場代や手間も節約可能でトータル的なコストパフォーマンスはラジカル塗料の方が高いです。
無機塗料やフッ素塗料ほど高価な塗料は使えないけど、多少予算を上乗せするくらいで安心感を得られるなら…と考える方が多くとても人気の高い塗料です。
2-4.幅広い素材に使用できる
ラジカル塗料は幅広い外壁素材に対応できる塗料です。
・モルタル
・窯業系サイディング
・ALC
・コンクリート
・一部の金属系外壁(別途専用の下塗り材が必要)
などの外壁にも対応可能です。幅広いお宅で対応できるのもラジカル塗料のメリットの1つです。
2-5.伸びがいいので塗りやすい
ラジカル塗料は塗料の伸びがよく扱いやすい塗料です。そのためムラができにくいこともメリットと言えるでしょう。
これにより施工品質が高く仕上がりも安定、工期の遅延や施工ミスのリスク低減にもつながりやすいため高品質な塗装ができると言えます。
3.ラジカル塗料のデメリット3選
ラジカル塗料のメリットをここまでお話して参りましたが、もちろんデメリットもございます。3つに分けてお話していきたいと思います。
3-1.まだ歴史が浅い
ラジカル塗料は2010年に販売開始された歴史の浅い塗料です。
そのため長期間にわたる実績やデータがまだなく、シリコン塗料やフッ素塗料などに比べると実績が少ないというデメリットがあります。
3-2.施工経験のない業者がいる
ラジカル塗料は比較的歴史の浅い塗料であるため、全ての業者で施工経験があるわけではありません。
塗料の性能を最大限に活かすためには製品の特性を理解している業者に依頼することをおすすめします。
3-3.塗料によって品質の差がある
ラジカル塗料といっても様々なメーカーから販売されておりその成分や技術は異なります。
中にはラジカル制御型塗料と謳っていても、実際には他のグレードと大差ない塗料も存在するためしっかりと実績と信頼のあるメーカーを選ぶ必要があります。
後ほどおすすめのラジカル塗料をメーカー別にご説明していきたいと思います。
3-4.フッ素塗料や無機塗料ほどの耐久性はない
ラジカル塗料は紫外線に強く耐久性が高い塗料であることは事実です。ですがフッ素塗料や無機塗料ほどの耐久性はありません。
特に20年以上の耐久性を求める場合はラジカル塗料ではやや物足りなさを感じるでしょう。
ラジカル塗料12~15年
フッ素塗料…15~20年
無機塗料…15~25年
3-5.濃色を選べない場合がある
ラジカル塗料は紫外線の影響を受けにくくするために高反射性の顔料が含まれることが多く、黒や赤などの濃色にはできない製品もあります。
濃い色をご希望される場合は希望通りの色で塗装ができるかどうかあらかじめ確かめておく必要があります。
4.ラジカル塗料での外壁塗装をおすすめしたい方
ラジカル塗料はコストパフォーマンスに優れた塗料です。以下に該当する方は特にラジカル塗料での外壁塗装をおすすめしています!
4-1.コスパの良い塗料を選びたい方
ラジカル塗料はシリコン塗料並みの価格帯でありながら、耐久性はシリコン以上と言われている塗料です。
耐久性に優れていて再塗装の回数を抑えることができるため、長期的な視点でコスト削減をしコスパの良い塗料を選びたい方にはおすすめの塗料です。
4-2.外壁のチョーキングを防ぎたい方
チョーキング現象は塗膜が劣化することによって起こる現象です。
ラジカル塗料はチョーキング現象の原因となるラジカルの発生を抑える機能が備わっているので、チョーキング現象を防いで綺麗な外壁を維持されたい方にはおすすめの塗料です。
4-3.紫外線に強い塗料で美観維持したい方や南向きの外壁の方
日本は紫外線の強い国で特に南向きの外壁は紫外線によるダメージを受けやすい傾向があります。
ラジカル塗料は紫外線による劣化をおさえる高耐候塗料であるため、色あせや艶の低下を防ぎ美観を維持されたい方におすすめです。
4-4.新しい技術を使ってみたい方
ラジカル塗料は比較的新しい技術を取り入れた次世代塗料です。
「せっかく外壁塗装をするなら最新技術を取り入れてみたい」「新しい技術で高機能を試したい」といった方にはラジカル塗料での外壁塗装がおすすめです。
ラジカル塗料は今後の主流になると期待もされています。
5.おすすめのラジカル塗料ランキング
ラジカル塗料の中にも各社メーカーごとに性能や価格などのちがいがあります。こちらの章では実績や評判をもとにおすすめのラジカル塗料をランキング形式でご紹介していきたいと思います。
第1位:アレスダイナミックTOP(関西ペイント)
■特徴 ラジカル制御型の先駆け的存在。高耐候性・防カビ・防藻機能などに優れ密着性も高いため様々な外壁に使用できる。
コスパ抜群で業者からもお客様からも人気の塗料。弊社のラジカル塗料で一番使われる塗料です。
■耐用年数 12~15年
■参考価格 2200円/㎡~
どれにしようか迷ったらアレスダイナミックTOPを選ぶと間違いない安定感がありおすすめです!
第2位:パーフェクトトップ(日本ペイント)
■特徴 独自のラジカル制御技術をもちチョーキングに強い。低汚染性や防カビ防藻効果があり、しっとりとした艶感が人気の塗料。
■耐用年数 12~15年
■参考価格 2400円/㎡~
施工実績も豊富で艶と発色の良さに定評があります。
第3位:エスケープレミアムシリコン(エスケー化研)
■特徴 シリコン樹脂にラジカル制御技術を融合した塗料。コストと性能のバランスがよく比較的安価。
■耐用年数 12~15年
■参考価格 2000円/㎡~
幅広い外壁に対応できラジカル塗料初心者におすすめの塗料。
第4位:シリコンREVO1000-IR(アステックペイント)
■特徴 遮熱機能+ラジカル制御を持つ塗料。セラミック技術で紫外線をカット。艶消しタイプも選択可能。
■耐用年数 13~15年
■参考価格 2300円/㎡~
比較まとめ
塗料名 | メーカー | 耐用年数 | 特徴 | 費用相場 |
アレスダイナミックTOP | 関西ペイント | 12~15年 | 人気NO.1 コスパ最強 |
約2200円~ |
パーフェクトトップ | 日本ペイント | 12~15年 | 艶や発色が良い | 約2400円~ |
エスケープレミアムシリコン | エスケー化研 | 12~15年 | 比較的安価で使用しやすい | 約2000円~ |
シリコンREVO1000-IR | アステックペイント | 13~16年 | 遮熱機能+高耐候 | 約2300円~ |
6.弊社のラジカル塗料で外壁塗装をした施工事例
最後に弊社のラジカル塗料で外壁塗装をした施工事例をご紹介したいと思います。
■羽曳野市にて雨漏りにお困りのお宅を外壁塗装した事例
羽曳野市の築20年のお住まいのお客様より、住宅の塗り替え工事と雨漏り修理のご依頼をいただきました。関西ペイントのアレスダイナミックTOPでの塗装です。
■堺市北区にて吹付多彩模様とラジカルのツートンカラーの施工事例
こちらのお宅は2階部分に日本ペイントのパーフェクトトップで外壁塗装をされた事例です。
堺市北区にて吹付多彩模様とラジカルのツートンカラーの施工事例
■池田市にて積水ハウスの外壁塗装(ツートンカラーで一新)
池田市の戸建て住宅(積水ハウス施工)にお住まいのお客様より、雨漏り修理と家全体のメンテナンスの相談をいただきました。関西ペイントアレスダイナミックTOPでの塗装です。
7.まとめ
ラジカル塗料は、近年注目を集めている次世代型の塗料であり「耐久性・美観性・コスト」のバランスがとれたコスパ抜群の塗料です。
ただし、まだまだ新しい塗料でもあるため、施工業者の経験差や商品ごとの品質の差もあるため信頼できる業者選びや塗料の選定がラジカル塗料の機能を最大限に活かす鍵となるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。