ガルバリウム鋼板は、近年建築業界やリフォーム業界からも注目されている魅力的な素材です。
ガルバリウム鋼板が持つ様々な優れた特色から、グングンと普及率が上がってきています。
この記事では、ガルバリウム鋼板の特徴や性質、選ばれる理由などを徹底解説していきます。
ガルバリウム鋼板でのリフォームを検討されている方、ガルバリウム鋼板が本当に良いものなのか知りたいという方にも参考にして頂ければ幸いです。
ガルバリウム鋼板を詳しく知っていただき、長く愛せる快適なお住まい、空間作りの第一歩にして頂ければと思います。
1-1.鉄を板状に加工した部材です
1-2.ガルバリウム鋼板が使われる用途
2.ガルバリウム鋼板が選ばれる理由
2-1.サビに強く高耐久
2-2.軽量で耐震性に優れている
2-3.耐熱性に耐熱性に優れている
2-4.スタイリッシュな美観を実現できる
2-5.形状を選ばず使用できる
3.ガルバリウム鋼板のデメリット
3-1.初期費用が初期費用が高額
3-2傷つきやすく凹みやすい
3-3正しく扱える業者が少ない
4.ガルバリウム鋼板ははこんな方にピッタリ
4-1過去に屋根塗装を行っており2回目のリフォームを検討している人
4-2金属の見た目(シンプル、モダン)が気に入っている人
4-3耐震性の向上を実現したい人
4-4現在のお住まいに30年以上住む予定の人
4-5カバー工法(重ね張り)を希望している人
5.ガルバリウム鋼板が向かない人
5-1海近くにある建物(塩害地域)にお住まいの人
5-2初期工事費用を抑えたい人
5-3独自性の高い外観に仕上げたい人
5-4物の出し入れが頻繁なガレージ周り等への施工を検討している人
6.ガルバリウム鋼板を使用した屋根工事費用
6-1屋根葺き替え工事
6-2屋根カバー工事
7.ガルバリウム鋼板を長持ちさせるポイント
7-1外壁でのガルバリウム鋼板は自分で出来る簡単メンテナンスがあります
7-2屋根でのガルバリウム鋼板は見える範囲(手が届く範囲で)
7-3定期的な点検は専門業者へ
8.まとめ
ガルバリウム鋼板ってどんなもの?
近年、建築材料として多く普及しているガルバリウム鋼板ですが、ガルバリウム鋼板という物がどんな建材なのか分からない方も多いのではないでしょうか?
ガルバリウム鋼板とはどんなもので、どのような用途で使われているのか見ていきましょう。
鉄を板状に加工した部材です
鉄は本来硬くてもろく酸化しやすいという性質を持っており、鉄単体では加工が難しい素材です。
この鉄の板を様々な素材でメッキ(保護)したものを鋼板といい、ガルバリウム鋼板もこの鉄の一種です。
ガルバリウム鋼板は、“亜鉛+アルミ+シリコン”の3つの素材で形成されたメッキ鋼板です。
ガルバリウム鋼板が使われる用途
ガルバリウム鋼板は、高い防食性や耐久性を活かして建物の外壁や屋根、または雨樋やテラス周りの建築材料として幅広く活躍しています。
外壁材での用途
金属本来のシンプルさが際立ち、近年人気なモダンで都会的な仕上がりが人気です。
錆びにくく高耐久なので、寿命が長くメンテナンス性が良い一方、傷つきやすい建材ですので扱いにくいのが欠点です。
金属だからこそ表現できるメタリックな質感とシンプルな美観
屋根材での用途
非常に軽量で高耐久という特性から、耐震性を兼ね備えた屋根材で近年注目されています。
屋根リフォームの部分では、軽い素材という特徴を活かしたカバー工法(重ね張り)が人気です。
※既存の屋根材が瓦屋根の場合はカバー工法の施工は出来ません。
瓦屋根の1/10の軽さで地震に強い屋根を実現
ガルバリウム鋼板が選ばれる理由
ガルバリウム鋼板は、近年建築材料として多くの建物で使用されています。
金属建材はガルバリウム鋼板以外にも存在していますが、なぜガルバリウム鋼板が選ばれているのでしょうか?
ガルバリウム鋼板が外壁材や屋根材として高い人気を集めているのには理由があります。
サビに強く高耐久
ガルバリウム鋼板は、高温多湿な日本の気候に適した建材です。
金属には避けられないサビですが、サビが発生するとどんどん腐食が進み外装材として十分な役目を果たす事が出来なくなります。
ガルバリウム鋼板は金属の中でも非常にサビにくい為、耐久性の高い外装材です。
軽量で耐震性に優れている
地震大国である日本に適した軽量素材であると言えます。
ガルバリウム鋼板は金属の薄い板で、非常に軽くて丈夫な建材です。
耐震性が注目されている近年、外壁や屋根の建材を軽量化する事で建物の躯体(基礎)にかかる負担を減らし地震に強い建物を実現できます。
耐熱性に優れている
メッキ層中のアルミニウム含有率が高い為、アルミメッキ鋼板に近い耐熱性を持っています。瓦やスレートなどの他の建材は「温度収縮」による劣化やひび割れなどが起こってしまうも事が少なくありません。
ガルバリウム鋼板は、耐熱性が高く温度の変化による割れが起こる心配はほぼありません。
スタイリッシュな美観を実現できる
金属の持つ独特な光沢や見た目から、モダンでスタイリッシュな美観に仕上げる事が出来ます。
金属ならではのシャープな素材感や高い耐熱性だからできる暗黒色(熱を吸収しやすい色)も人気の理由です。
形状を選ばず使用できる
ガルバリウム鋼板は加工しやすく多様性がある建材です。
ガルバリウム鋼板は非常に薄い板なので加工しやすく折り曲げ等も比較的簡単に出来る為、複雑な形状の外壁や屋根、更には雨樋などにも多様に対応できます。
ガルバリウム鋼板のデメリット
優れた特性を持つガルバリウム鋼板ですが、決して完璧な建材ではありません。
もちろんデメリットもあります。
良い所も悪い所も知っていただき、ご自身の思いに沿った建材かどうかを判断する必要があります。
初期費用が高額
屋根材の種類 | 施工単価/㎡ |
スレート屋根 | 3500~4500円 |
アスファルトシングル | 3500~4000円 |
ガルバリウム鋼板 | 5000~10000円 |
外壁材の種類 | 施工単価/㎡ |
窯業系サイディング | 3000~5000円 |
モルタル | 4500~5500円 |
ガルバリウム鋼板 | 5000~6000円 |
※自社調べ
ガルバリウム鋼板は丈夫な建材ですが、施工などの扱いには割とデリケートな建材です。
施工時には他の金属との接触を避ける(サビやすくなる為)必要があり、他の屋根材や外壁材に比べると施費用が割高になってしまいます。
傷つきやすく凹みやすい
ガルバリウム鋼板は、薄くて軽量な建材で優れた性質がある一方、薄いからこそ傷がつきやすく凹みやすいという弱点もあります。
一度凹んでしまうと元には戻せず補修が必要になります。
傷がつくと表面のメッキ層が剝がれてしまい、サビの原因になってしまいます。
正しく扱える業者が少ない
ガルバリウム鋼板はとてもデリケートな建材です。
施工時の取り扱いなどにも専門の知識と技術が必要です。
その為ガルバリウム鋼板を正しく扱える専門業者が少なく、中には施工を嫌がる業者もいます。
ガルバリウム鋼板はこんな方にピッタリ
ガルバリウム鋼板は優れた建築材料ですが、何でもガルバリウム鋼板を採用するのが良いという訳ではありません。
工事費用や将来的なメンテナンスコストやお住まいの将来の用途まで総合的に判断し、ガルバリウム鋼板を使用するべきかを判断する必要があります。
過去に屋根塗装を行っており2回目のリフォームを検討している人
現在の屋根材がスレート瓦の場合、1回目の屋根リフォームは塗装工事を選択される方が多いかと思います。
もちろん2回目の屋根リフォームでも屋根塗装を行う事は可能です。
ですが2回目の塗装工事では、1回目に使用した塗料との相性が悪いと塗膜の浮きや剝がれを起こす事もあります。
屋根リフォームが2回目以降の人にはガルバリウム鋼板を使った葺き替えやカバー工事がおすすめです。
金属の見た目(シンプル、モダン)が気に入っている人
金属ならではの光沢やシンプルな見た目が人気な建材です。
金属特有の質感などが気に入っている人、都会的な仕上がりにしたい人にはぴったりです。
耐震性の向上を実現したい人
地震が起こった際、建物の揺れの大きさは建物の重心の位置が大きく関係しています。
瓦などの重たい物を屋根に使用している場合、建物の重心が高い位置にかかる事になります。
重心が高いほど建物への負荷が大きくなり、建物の揺れも大きくなってしまいます。
ガルバリウム鋼板は屋根材の中でも最も軽量な部類に入る屋根材です。
建物の屋根を軽量化する事で建物への負荷を軽減でき、耐震性の向上を望む方にもぴったりです。
現在のお住まいに30年以上住む予定の人
屋根材 | 耐用年数 | メンテナンス時期 |
スレート屋根 | 15~25年 | 7~10年 |
アスファルトシングル | 15~25年 | 10~20年 |
ガルバリウム鋼板 | 20~30年 | 20~30年 |
※耐用年数、メンテナンス時期はメーカー資料より
ガルバリウム鋼板は、他の建材に比べても防水性や耐久性が高く耐用年数が長い素材です。
素材の耐用年数が長いということは、将来的にメンテナンスが必要になる時期が長くなるという事につながります。
スレート屋根やサイディング外壁は10年に1度の塗装が望ましいとされています。
ガルバリウム鋼板はメンテナンスの必要頻度が少ない為、長期的に見るとメンテナンスにかかる負担が少なくて済みます。
今のお住まいに30年以上住む予定がある人や子供に家を残したい方などには、「長く安心して使用できる素材」としておすすめの建材です。
カバー工法(重ね張り)を希望している人
素材が軽量である事から、既存の屋根材や外壁材の上から重ねて施工しても建物にかかる負担があまり変わらずリフォームが可能です。
屋根や外壁を2重に重ねる事になる為、断熱性の向上にもなります。
屋根や外壁のカバー工事を検討しているなら、ガルバリウム鋼板の使用がおすすめです。
※現在の屋根材が瓦屋根の場合や、下地の劣化が激しい場合はカバー工事の採用が出来ないこともあります。
ガルバリウム鋼板が向かない人
ガルバリウム鋼板がピッタリな人とは反対に、ガルバリウム鋼板の使用が向いていない人もいます。
海近くにある建物(塩害地域)にお住まいの人
潮風に晒されている海近くの建物は、屋根や外壁に塩分が付着しています。
塩分が酸化し、塗膜の劣化やサビの促進など様々な被害をもたらすのが塩害です。
ガルバリウム鋼板はサビに強い素材ですが、傷つきやすくデリケートな素材です。
何らかの原因で外壁や屋根のコーティングに傷が付いてしまった場合、傷ついてしまった所からサビが発生します。
塩害の影響で急速にサビが広がり、素材に穴があいてしまうというリスクが高まります。
この様な影響を受けやすい地域でのガルバリウム鋼板の使用は、定期的な点検と10年に1度は塗装をするなどメンテナンスの頻度を高める必要があります。
周囲の環境によっては「サビに強く高耐久」という強みを最大限発揮できないという事があります。
もちろんスレート屋根やサイディング外壁も同様に塩害の影響で塗膜の劣化は早まります。
金属ではないので素材自体がサビによって穴が空くというリスクは低いですが、頻繁に塗装をする(5~7年に1度)などこまめにメンテナンスをする必要があります。
現在では、ガルバリウム鋼板を更に改良し、より高い性能をもつ次世代型ガルバリウム鋼板(エスジーエル鋼板)という建材が誕生しています。
ガルバリウム鋼板の3倍超の耐食性を実現しており、腐食が起こりやすい傷部などの腐食抑制効果が注目されています。
その他にも、タイル・ステンレス・樹脂サイディングが塩害に強い素材として知られています。
初期工事費用を抑えたい人
使用外壁材 | 張り替え工事相場 |
窯業系サイディング | 130~220万円 |
ガルバリウム鋼板 | 150~270万円 |
使用屋根材 | 葺き替え工事 |
スレート屋根 | 130~150万円 |
ガルバリウム鋼板 | 150~200万円 |
※工事費用自社調べ
ガルバリウム鋼板は凹みやすくデリケートな建材な為、正しく扱える業者も少ない傾向にあります。
ガルバリウム鋼板の施工は専門の技術が必要な為、工事費用が高くなってしまいます。
窯業系サイディングやスレート屋根といった建材を、ガルバリウム鋼板にするだけで工事費用が40万円~50万円ほど高くなってしまいます。
独自性の高い外観に仕上げたい人
ガルバリウム鋼板
シンプルでスタイリッシュなのが特徴です。
中には「見た目が安っぽい」「倉庫みたい」という印象を持たれる方もいます。
スレート屋根やサイディング外壁に比べて、ガルバリウム鋼板は色味の種類も少なめです。
窯業系サイディング
タイル柄、木目調、レンガ風などのデザインバリエーションが豊富です。
物の出し入れが頻繁なガレージ周り等への施工を検討している人
ガルバリウム鋼板は非常に薄い鋼板で凹みやすいというデメリットがあります。
物の出し入れが頻繁なガレージ周り等への施工はおすすめできません。
ガルバリウム鋼板を使用した屋根工事費用
ガルバリウム鋼板の主な屋根施工方法は、「葺き替え工事」と「カバー工事」です。
葺き替え工事 | カバー工事 |
既存屋根を撤去 | 既存屋根はそのまま |
撤去屋根材の廃材処理費用など、 |
既存屋根を撤去しない分葺き替えよりも |
ガルバリウム鋼板の施工費用は業者によって大きく差がでると言われています。
高額な施工費を要求してくる悪徳な業者もまだまだ存在しているようです。
適切な工事単価、価格を知っておく事が失敗しない業者選びにも繋がっていきます。
葺き替え工事の費用相場は10000円~15000円/㎡程度です。
屋根の取付け方法、屋根勾配(屋根の角度)によって金額も違ってきます。
(全ての場合に当てはまる相場ではありません)
カバー工事の費用相場は9000円~12000円/㎡程度です。
既存の屋根材、屋根や外壁の形状、施工方法、下地の状態などでも工事費用は変わってきます。
(葺き替えよりも安価ですが、既存の屋根が瓦の場合カバー工事はできません)
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるポイント
ガルバリウム鋼板は「メンテナンスフリー」などという言葉を目にしたり聞いたりしたことはありませんか?
ガルバリウム鋼板の「メンテナスフリー」は全くの間違いです。
当然メンテナンスを行わないと本来の耐久性も発揮できません。
この章では、この優れたガルバリウム鋼板を長く安心して保って頂く為に必要なメンテナンス方法をご紹介します。
外壁でのガルバリウム鋼板は自分で出来る簡単メンテナンスがあります
定期的に水をかけてあげましょう。
特に雨が降った後などは外壁に泥やゴミが跳ねていたりするものです。
汚染物質やゴミなどの長期付着はサビの発生や劣化につながってしまいます。
潮風が当たりやすい地域や酸性雨(排気ガスなどを多く含んだ雨)などが多い地域などでも、簡単にできるメンテナンス方法です。
屋根でのガルバリウム鋼板は見える範囲(手が届く範囲で)
屋根の場合も定期的な水洗いは有効ですが、屋根に上がっての水洗いは危険ですのでご自身では決して行わない様にしてください。
下屋や庇など、見える範囲(手が都度く範囲)で行える場合は優しく水洗いをしてあげて下さい。
定期的な点検は専門業者へ)
ご自身での定期的なメンテナンスを行いながらも当然専門業者による定期点検は必要です。
ガルバリウム鋼板のメーカーが推奨する定期点検のタイミングは年1回です。
傷や凹みは無いか?サビやこけなどは発生していないか?など細かな部分も点検してくれます。
もちろん私達南大阪ペイントセンターでも外壁や屋根の点検を行っておりますので、必要な際はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
ここまで読み進めて頂いて、「ガルバリウム鋼板」というものの特徴や用途お分かり頂けたでしょうか?
ガルバリウム鋼板は初期費用が割高な為、なかなか決めかねているという方もいらっしゃいます。
ですが、長期的なコストパフォーマンスを考えるなら、耐久性が高くメンテナススパンの長いガルバリウム鋼板がおすすめです。
ガルバリウム鋼板のメリット・デメリットもしっかり理解した上で、ぴったりなものを選んで頂きたいと思います。
あなたの大切なお住まいのリフォームのお手伝い、参考になれば幸いです。