「外壁が割れている!これって補修するにはどうすれば良い?」
といった外壁のキズやひび割れについてお困りではありませんか?
結論、外壁の痛みは建物の寿命を左右するのでプロの業者に点検してもらう方が良いです。
ですが、小さなキズ程度であれば「できればDIYで費用を抑えたい」とお考えの方も少なくないでしょう。
そこで当ページでは外壁補修が必要かどうかDIY可能かの判断も含め、補修の費用例などもご紹介します。
・外壁の補修が必要な3つの症状例
・外壁の種類別の補修内容と費用例
・外壁補修のDIYの注意点
・外壁補修で後悔しないために押さえるべき知識
現状の外壁の問題を解決できるように、DIYか業者へ依頼すべきかを正しく判断ができるでしょう。
1.外壁の補修が必要な症状例3選
1-1.ひび割れ・亀裂
1-2.塗膜の膨れ・浮き・剥がれ
1-3.コーキングの不具合
2.外壁の種類別の補修方法と費用例
2-1.モルタル
2-2.サイディング
2-3.ALC
3.外壁補修が必要なら塗装工事のタイミングの可能性が高い!
4.外壁補修はDIYではなく業者へ依頼すべき4つの理由
4-1.高所作業で危険
4-2.補修のDIYは素人では難しすぎる
4-3.補修費用が高額になる可能性
4-4.建物の寿命を縮める
5. DIYできるのはひび割れへの雨漏り防止だけ!
5-1.ひび割れに雨水が侵入しないようにする応急処置ならDIY可能
5-2.雨漏りの原因になるため横目地や水切りにはコーキング補修NG
6.外壁補修を検討する前に押さえるべき2つのポイント
6-1.工事請負契約書や保証書の確認
6-2.火災保険の補償内容を確認
7.まとめ
1.外壁の補修が必要な症状例3選
いま目の前にある外壁に、補修が必要なのか判断が難しいと思います。
そこで外壁補修が必要な症例を3つに分けてみました。
建物の状態と症例を照らし合わせて、補修が必要かどうか判断してみましょう。
1-1.ひび割れ・亀裂
外壁のひび割れ・亀裂がある場合は、ひび割れの幅のサイズによって補修すべきか様子見で良いのか判断が分かれます。
後ほどひび割れの幅ごとの写真例や緊急度などをご紹介しますが、0.3mm以上の幅があるひび割れは補修が必要です。
まずは物差しでひび割れを測っていただきたいですが、実際にご家庭にある物差しは1mm刻みのものがほとんどで0.3mmを測ることは難しいと思います。
業者の場合はクラックスケールで詳しいひび割れの幅を測りますが、一般のご家庭ではまずない道具ですよね。
0.3mmは名刺や紙のポイントカードの厚みに近いです。
ですので目の前にあるひび割れに名刺が入れば0.3mm以上の可能性が高いので補修が必要です。
ひび割れの規模ごとに補修の必要性や緊急度を以下の表にまとめました。
写真 | 規模 | 補修の判断 | 緊急度 |
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幅0.3mm以上深さ5mm以上(構造クラック) | 補修必要 | 高 |
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真横に延びるひび割れ | 補修必要 | 高 |
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幅0.3mm未満深さ4mm未満(ヘアークラック) | 要経過観察 | 低 |
特に外壁材がモルタルの場合はひび割れ補修が必要かの判断が難しいです。
と言うのもモルタルの乾燥過程の関係上、築浅でも「乾燥クラック」と呼ばれる非常に微細なひび割れができます。
「乾燥クラック」はモルタルが乾燥しきったサインなので、緊急性が高いひび割れではありません。
ヘアークラックや乾燥クラックなどの微細なひび割れであったとしても「ひび割れが増えていないか、大きくなっていないか」など経過観察をされることが大切です。
1-2.外壁塗膜の膨れ・浮き・剥がれ
外壁塗膜の膨れ・浮き・剥がれは症状の規模に関わらず補修が必要です。
理由はどの症状も雨漏りにつながるケースが多く、メンテナンスの時期と言えるからです。
以下の表をご覧いただき、いずれかの症状がないかチェックしてみて下さい。
写真 | 外壁の状態 | 原因 |
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塗膜の膨れ | 塗膜の内部に雨水が入り、水蒸気となって塗膜内部を押し上げる |
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外壁の浮き | 外壁材の内部に雨水が入り、湿潤と乾燥を繰り返すことで外壁材変形し浮いてしまう |
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塗膜の剝がれ | 経年劣化によるもので、剝がれた状態の放置は雨水が侵入して浮きや剥がれにつながる |
いずれの症状も既に雨水が入り込んだ後や雨水侵入のきっかけとなる症状です。
様子見の時期は過ぎているので、早急に業者へ点検依頼をご検討ください。
1-3.コーキングの不具合
コーキングのひび割れをはじめとするコーキング関連すべての不具合は補修が必要です。
コーキングの不具合の具体例を下記に掲載しているので、ご自宅の状態と照らし合わせてみて下さい。
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上記のようなコーキングの不具合を補修せずに放置すると…
・雨漏りのリスクが高まる
・外壁材を傷める
といった危険性があります。
ですのでコーキングの不具合は様子見をせず、できるだけ早く補修をする必要があります。
2.外壁の種類別の補修方法と費用例
これまで紹介した3つの症状を外壁材別に紹介します。
いずれの症状はどの外壁材にも当てはまりますが、外壁材によってよくある症状が異なります。
以下に外壁材別の症状をまとめました。
外壁材 | ひび割れ | 外壁塗膜の膨れ・浮き・剝がれ | コーキングの不具合 |
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よくある | まれにある | まれにある |
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まれにある | まれにある | よくある |
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まれにある | まれにある | よくある |
各外壁材のよくある症状例の補修例と費用を紹介します。
2-1.モルタル
モルタル外壁は基本的にひび割れがしやすい外壁材のため、塗装工事をご依頼いただく全体の8割近くがひび割れ補修が必要でした。
塗膜の浮きや剝がれといった症状も、これから紹介する左官補修で対応するケースが多いです。
モルタル外壁のひび割れをDIYで応急処置されていた事例です。
実施する補修方法としてはDIYされた塗膜を削り、ひび割れの左官補修をします。
DIYで補修された部位を削りとり…
左官補修を行います。
刷り込んだモルタルが完全に乾燥してから補修完了です。
ひび割れ補修の費用
55,000円(税抜)
足場費用などは別途で、こちらの建物はこの後に外壁・屋根塗装をしたので総額約115万円費用が発生しています。
▼外壁補修のみの事例▼
▼塗装工事全体の事例▼
2-2.サイディング
窯業系サイディングはサイディングボード同士の繋ぎ目である目地にコーキングが施工されています。
コーキングの剝がれや割れといった症状は多いですが、コーキングの不具合が進行するとサイディングボード全体を押し上げてしまい外壁の浮きに繋がってしまいます。
こちらの住宅はコーキングの不具合とサイディングボードの浮きといった2つの症状でお困りでした。
サイディングの目地のコーキングの隙間に湿気が入り込み、湿気が外壁を押し上げて浮いてしまっています。
補修方法としては外壁(サイディングボード)をビスで固定して、劣化したコーキングを新しいものに交換してあげましょう。
古いコーキングを撤去して、新しいコーキングへと打ち替えます。
工事内容 | 数量 | 単位 | 単価 | 価格 |
コーキング(撤去・打ち替え)目地 | 201 | m | 750 | 150,750 |
コーキング(増し打ち)サッシ廻り | 148 | m | 450 | 66,600 |
コーキング(増し打ち)軒天廻り | 33 | m | 450 | 14,850 |
小計 | 239,700 |
こちらの建物の場合コーキング工事の合計金額は239,700円(税抜)でした。
上記金額は足場費用などの共通工事は別途発生します。
外壁塗装を含むと総額約123万円でした。
▼塗装工事全体の事例▼
2-3.ALC
サイディングと同様にALCにも目地が存在します。
ただしサイディングよりも約1.5倍目地が多いため、目地のコーキングに不具合があると雨漏りのリスクが高まってしまいます。
こちらは築25年のALC外壁です。
よく見ると写真中央の縦目地がひび割れているのが分かりますか?
ALCの場合、目地の溝が深いので既存のコーキングの上から施工できる増し打ち工法が可能です。
亀裂など症状が酷い場合を除き、今回のような表面のみひび割れの場合は増し打ち工法で実施します。
ただし2回目の塗装工事については目地の溝が初回のコーキング工事で埋まっているので、撤去打ち替え工法を行う必要があります。
工事内容 | 数量 | 単位 | 単価 | 価格 |
コーキング(増し打ち)目地・サッシ廻り | 514 | m | 500 | 257,000 |
小計 | 257,000 |
こちらの建物の場合コーキング工事の合計金額は257,000円(税抜)でした。
上記金額は足場費用などの共通工事は別途発生します。
外壁塗装を含むと総額約166万円でした。
▼外壁補修のみの事例▼
▼塗装工事全体の事例▼
3.外壁補修が必要なら塗装工事のタイミングの可能性が高い!
外壁補修が必要な多くの場合は、外壁塗装のメンテナンス時期と言えるでしょう。
なぜなら補修が必要な多くのケースは塗膜の寿命が切れることで保護効果がなくなり、外壁材を傷めることで発生するからです。
実際に前項の事例でも、補修後に必ず外壁塗装を行っています。
例えばひび割れ補修をされた場合は、塗装をすることで補修跡を目立ちにくくできます。
又、コーキング工事後に外壁塗装をすることで、コーキングが塗料で保護され劣化を防いでくれます。
「補修が必要かも?」と気付かれる時点で、塗膜の寿命が切れた外壁塗装のサインの可能性が非常に高いのです。
4.外壁補修はDIYではなく業者へ依頼すべき4つの理由
外壁補修のDIYは基本的におすすめできません。
おすすめできない理由はシンプルに4つあります。
・高所作業が危険
・難易度が高い
・補修費用が嵩む
・建物の耐久性が低下
DIYをおすすめできない理由を4つの項目ごとにご紹介します。
4-1.高所作業で危険
手の届かない補修箇所のDIYは脚立や梯子が必要なので危険を伴います。
不安定な高所でDIYを行うと素人なら失敗する確率も高まりますし、何より転倒での怪我のリスクがあります。
危険な高所作業はプロに任された方が安全です。
DIYは高所作業が伴う場合もあるので、おすすめできません。
4-2.補修のDIYは素人では難しすぎる
外壁補修のDIYは非常に難易度が高いです。
素人がDIYをすると適切な仕上がりにならないのです。
▼DIYで外壁補修に使用する道具例▼
・コーキング材
・コーキングガン
・養生テープ
・セメントスプレー
・補修スティック
実際に上記のような道具を使って、補修作業をしないといけません。
特にコーキングに関しては国家資格があるほど専門性の高い工事なので、きちんと補修する目的でのDIYは非常に難しいと予想されます。
仮にコーキングやセメントスプレーで補修ができたとしても、仕上がりが悪くなる可能性が高いです。
次項でもご紹介しますがDIYで補修をした結果補修費用が高額になり、建物の耐久性にも影響が出てしまうのです。
4-3.補修費用が高額になる可能性
正しい知識でDIYをしないと、補修費用が高額になる可能性があります。
なぜ高額になるかと言うと、DIYをしたコーキングやセメント粉などの撤去費用が余分に発生するからです。
実際にDIYで施工してもすぐに劣化してしまい、結局業者へ依頼されるケースが後を絶ちません。
▼撤去費用の例▼
ひび割れをモルタルで埋めている場合 | 1箇所数千円 |
広範囲に亘ってモルタルを埋めている場合 | 数万円以上 |
DIYの撤去費用に関しては、補修の規模によって金額差があるので一概にお伝えすることは難しいです。
最終的に業者へ依頼されることを考えると、撤去費用がかかるのでDIYはされない方が良いと思います。
DIYで外壁補修をすると、最終的に補修費用が嵩む可能性があるということを留めておかれた方が良いでしょう。
4-4.建物の寿命を縮める
誤ったDIYをすると結果的に建物の寿命を縮めてしまいます。
誤った箇所をコーキングで埋めてしまうと湿気や雨水の逃げ道がなくなり雨漏り被害へと発展します。
▼DIYで雨漏り被害へ発展した事例▼
撤去費用自体は数千円程度ですみましたが、雨漏りによって建物へは深刻なダメージを残す結果となりました。
一度でも雨漏りをしてしまうと外壁材の内部に湿気が籠り、木材の腐食の原因となり確実に建物の耐久性に影響します。
建物を直すために行うDIYが正しい知識がないと逆に建物を傷めてしまう原因となるのです。
5. DIYで補修できるのはひび割れからの雨漏り防止だけ!
DIYができるのは雨漏り防止を目的としたひび割れへの応急処置だけです。
ですが外壁の痛みの程度はプロに判断してもらった方が良いのでDIYでの補修は基本的におすすめできません。
具体的に「この規模の補修ならDIY可能」という線引きは難しいです。
プロの業者の点検を推奨しますが、雨漏りの応急処置の範囲であればDIYを選択肢に入れても良いと思います。
5-1.ひび割れに雨水が侵入を阻止す応急処置ならDIY可能
軽微なひび割れに雨水が侵入を阻止する目的での応急処置であればDIYは可能でしょう。
ただしひび割れの規模も、構造クラックや真横に延びるひび割れの場合は早急に業者に対応してもらった方が良いです。
「この規模のひび割れならDIY可能」という明確な線引きは実際の建物を見てみないと判断は難しいです。
ひび割れの規模で判断するというよりは、雨水が入らないようにコーキングやセメント粉で補修をする分には特に大きな問題にはならないです。
ただし補修のやり方や外壁材とコーキング材の相性によってはDIYで施したコーキングの撤去費用がかかる場合があります。
あくまで雨水の侵入を阻止する応急処置の範囲であればDIYは可能ですが、後々撤去費用がかかる可能性があることを留めておきましょう。
5-2.雨漏りの原因になるため横目地や水切りにはコーキング補修NG
塞いではいけない箇所にコーキングをすると雨漏りの原因となるため絶対にやめましょう。
雨水や湿気が排出される部位にコーキングをすると雨水の逃げ道がなくなり雨漏りの原因となります。
具体的なコーキング補修NGの部位は…
・サイディングの横目地(隙間)
・水切り
サイディングの横目地と水切りの隙間は必要不可欠です。
この隙間があるおかげで外壁内部に入った湿気を逃がしてくれるのです。
ですので正しい知識がない状態で闇雲に隙間を埋めるのは非常にリスクが生じることを覚えておきましょう。
▼外壁塗装のDIYについてこちらの記事で網羅的に解説をしています▼
外壁塗装のDIYは一歩間違えれば大損失!雨漏りや費用が嵩むリスクがある
6.外壁補修を検討する前に押さえるべき2つのポイント
外壁補修のご検討時に、初めに押さえた方が良いポイントがあります。
それは建物の保証内容や、火災保険でどのような補償を行っているかについてです。
契約内容など確認されないまま業者へ依頼されますと、損する可能性もあるので必ず事前に押さえておきましょう。
6-1. 工事請負契約書や保証書の確認
新築の場合は施工業者から工事請負所や保証書を受け取っているはずなので、まずは契約条件を確認しましょう。
具体的にはどのような保証内容になっているかです。
中古住宅の場合でも売主に瑕疵担保責任の請求を求めることができるケースがあります。
必ずご購入された不動産業者・施工業者などに確認をした方が良いです。
6-2.火災保険の補償内容を確認
自然災害で外壁や屋根が破損した場合、火災保険が認められるケースがあります。
まずは契約されている損害保険会社に補償内容など、今後の申請方法について確認がおすすめです。
ここで注意しておきたい点が、火災保険を理由に工事を迫る業者の存在です。
火災保険の適用可能かの判断は業者ではなく、保険会社にあります。
ですので「火災保険が使えるので工事費が安くなります」と言い切る業者は、良い業者とは言い難いです。
外壁の補修に火災保険が適用されるかの判断は、まずは損害保険会社に確認された方が良いです。
7.まとめ
外壁の補修が必要なケースは、キズや欠け・ひび割れなどの外壁に致命的な痛みがある場合が多いです。
外壁の傷みは時として建物の寿命を縮めてしまう大きな要素となってしまいます。
ですので補修に関してはできる限りご自身で判断されず、業者へ相談されることがあなたの建物を守るための近道でもあるのです。
「このキズは放置していても良いのか」
「補修費用はどのくらいなのか」
補修に関する様々なご不安やお悩みのご相談を承っています。
どんな些細なことでもお気軽にご相談いただけると幸いです。