外壁は、雨風や紫外線に晒されるだけでなく、実は「虫の侵入経路」にもなりやすい場所です。
特に夏場や夜間は外壁の色や照明に誘われて虫が集まりやすく家の中に侵入する原因にもなります。
そこで注目されるのが「外壁塗装による虫対策」です。防虫効果のある塗料を使ったり虫がよりにくい外壁の色にするなど対策は複数あります。
こちらの記事では、防虫塗料アレスムシヨケクリーンの特徴や色選び、補修による虫対策、さらに自分でできる工夫など外壁塗装と虫対策について詳しく解説していきたいと思います。

榎本悟
一級塗装技能士・外装劣化診断士
1998年に「南大阪ペイントセンター」を創業し、住宅塗装の専門家として20年以上の経験を持つ。外壁診断や雨漏り診断の豊富な知識を活かし、耐久性と美観を両立させた高品質な施工を提供。さらに、窯業サイディング塗替診断士や雨漏り診断アドバイザーの資格も取得し、住宅の外装全般に関する幅広いアドバイスを行っている。

橋本卓哉
石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者
学生時代に塗装業に携わり、大学卒業まで職人として経験を積む。卒業後は外装リフォームの営業・現場管理に従事し、これまでに1,000棟以上の施工を担当。豊富な知識と現場経験を活かして外装診断・施工に取り組んでいる。
1.外壁塗装とセットでできる虫対策をする3つの方法
1-1.虫の寄り付きにくい色で塗装をする
1-2.外壁のひび割れを補修する
1-3.防虫塗料を活用して塗装をする
2. その他、自分でできる虫対策
2-1.物理的な防虫対策
2-2.化学的な虫対策
2-3.家まわりの環境整備
2-4.日常的にできる工夫
3.外壁塗装の虫対策についてよくある質問
Q1.防虫塗料はどの季節に塗るのが効果的?
Q2.アレスムシヨケクリーンを塗ったところの見た目はどんなの?
Q3.ネズミなどにも効果はある?
Q4.既存の塗料の上から塗れる?
Q5.DIYで防虫塗料を使ってもいい?
Q6.防虫塗料の効果が出るまでにはどのくらいかかる?
Q7.塗装する高さや場所で効果はかわる?
4.まとめ
1.外壁塗装とセットでできる虫対策をする3つの方法
外壁塗装で虫対策をする方法をいくつかご紹介していきたいと思います。
1-1.虫の寄り付きにくい色で塗装をする
周囲が林や池など虫が寄りやすい環境のお宅では虫が寄りにくい外壁色を選ぶことが有効です。
実は、黄色の服は虫が近寄りやすいなどと一緒で、外壁の色によっても虫の寄り付きやすさはかわります。
・白のような淡い色→光を反射しやすく夜間に集まる虫が比較的少ない
・黒などの濃い色→光を吸収するため、夜間の照明に集まる虫がよりやすい傾向
・黄色などの暖色系→特に蛾や小さな羽虫が好みやすい
そのため、外壁塗装をする際は、落ち着いた淡い色やグレー・ベージュ・ホワイト系を選ぶと防虫効果があるとされています。
1-2.外壁のひび割れを補修する
虫は光に集まるように、住処を探すために隙間も探しています。外壁にひび割れや欠けがあるとそこが虫の侵入口になり場合によってはシロアリ被害にもつながります。
外壁塗装のタイミングでしっかりとひび割れを補修し隙間を塞ぐことで虫の侵入や住み着きを防ぐことができます。
ひび割れ補修について関連記事
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1-3.防虫塗料を活用して塗装をする
最近は防虫成分の入った塗料が販売されており、代表的なものが関西ペイントの「アレスムシヨケクリーン」です。
アレスムシヨケクリーンはその名の通り、虫よけ成分(ピレスロイド系薬剤)が含まれた塗料で、塗装することで塗装面に虫がとまりにくくなり、美観を向上させる塗装+虫よけ機能を付加した塗料として人気が高まっています。
蚊などの不快な虫は飛んでいる時間は短く、壁に止まっていることがほとんどなのです。その性質を利用して壁や天井にアレスムシヨケクリーンを塗ることで、虫が壁に止まった際に薬剤と接触します。
ピレスロイド系薬剤に触れた虫は壁に寄り付きにくくなるだけでなく、虫の神経系に影響を与えます。
※ピレスロイド系薬剤は人体や犬猫などペットに害はありません。
この神経系に影響というのはどういうことかと言うと、ピレスロイド系薬剤に触れた蚊は吸血行動ができなくなるという実験データがあります。つまり不快な虫の被害から、身を守ることに繋がるのです。
■効果のある虫と持続期間について
アレスムシヨケクリーンは特に、ユスリカ、コバエ、ガ、カメムシなどの飛ぶ昆虫に効果があります。
その他、ウンカ、ヨコバイ、チョウバエ、キイロショウジョウバエ、羽アリ、白アリ、ハチ、クモ、ブユ(ブヨ)、アブ、タンスの虫などにも効果があるとされています。
※カブト虫・クワガタ虫などのペット虫や、両生類・爬虫類・魚類などにも影響があります。尚、塗膜に接触しなければ支障はありません。
効果の持続期間は約2~4年程度とされており、使用環境によっても差が出ます。
■どこに塗れるのか
アレスムシヨケクリーンは基本的に室内壁面、バルコニーの壁面、玄関廻りの壁面、軒天面などに塗装できます。
直射日光が強く当たる外壁全体に塗装するのは効果の持続性や素材との相性から推奨されていません。
そのため、「室内の壁やクロスで虫対策をしたい」「外壁塗装のタイミングで軒天や玄関、ベランダなどに防虫効果を持たせたい」といったケースで効果を発揮します。
直射日光が当たる場所に塗布すると、充分な効果持続性が期待できない為に、使用するのはおすすめしません。
2.その他、自分でできる虫対策
外壁塗装や防虫塗料の利用以外にも、日常生活の中でできる虫対策はたくさんあります。
ここでは物理的・化学的・環境整備・日常の工夫の4つにわけてご紹介します。
2-1.物理的な防虫対策
虫を「入れない」「近づけない」ための基本的な工夫です。
・網戸の設置や補修
破れや隙間があると小さな虫は簡単に侵入します。破れや隙間があればその都度補修しましょう。
・隙間の封鎖
窓枠やドアの下部、配管の通り道など小さな隙間をコーキング材や隙間テープでふさぐなどの対策が有効です。
・照明の工夫
白熱灯や蛍光灯は虫が寄りやすいため、LED電球や黄色みの強い照明に切り替えましょう。
2-2.化学的な虫対策
市販のスプレーや忌避剤を使って虫対策をする方法です。
・防虫スプレー
玄関や窓の周囲に吹きかけるだけで一定期間虫を寄せ付けにくくします。最近は玄関ドアにかけておくだけのタイプも販売されています。
・ベイト剤、トラップ
アリやゴキブリ対策には誘引剤やゴキブリホイホイなどの捕獲器も有効です。
・アロマオイル
ハッカ油やレモングラスなどの香りも一部の虫を寄せ付けにくくします。
2-3.家まわりの環境整備
虫は住環境に引き寄せられるため、外回りを整えることも大切です。
・植栽の工夫
虫を呼びやすい植木や雑草はこまめに整えましょう。逆にハーブ類(ローズマリーやミント)は防虫効果が期待できます。
・水たまりをなくす
水や湿気が多い箇所は蚊の発生源になります。そのため、鉢皿や排水溝に水をためないようにしましょう。
2-4.日常的にできる工夫
・こまめな掃除
食べかすや埃は虫の餌に。清潔に保つことも虫対策に繋がります。
・生ごみの管理
蓋つきのゴミ箱を使い、特に夏場はこまめにゴミを出しましょう。
・換気の工夫
湿気をためないようこまめに換気することも虫対策に繋がります。
3.外壁塗装の虫対策についてよくある質問
ここからは外壁塗装の虫対策についてよくいただく質問にお答えしてまいりたいと思います。
Q1.防虫塗料はどの季節に塗るのが効果的?
防虫塗料は春から初夏にかけて塗装するのがおすすめです。
気温が安定し湿度も低めで塗料が乾燥しやすい時期であり、同時に虫の発生シーズンが始まる前に対策できるからです。
Q2.アレスムシヨケクリーンを塗ったところの見た目はどんなの?
アレスムシヨケクリーンは無色透明のつや消しタイプです。
そのため、現在のお部屋や外観に影響することはありません。塗料自体は白濁していますが、乾くと無色透明になりますのでご安心下さい。
しかしつや消しタイプという特性上、光沢のある面に塗装をするとツヤムラが生じる場合がありますので注意は必要です。
Q3.ネズミなどにも効果はある?
ネズミなどの害獣には効果がありません。
Q4.既存の塗料の上から塗れる?
はい塗れます。ただし清掃や下地処理で密着度を高めてから塗ると効果が高まります。
Q5.DIYで防虫塗料を使ってもいい?
小規模な範囲(室内の壁周りや玄関周りなど)ならDIYで可能です。ただし広範囲の塗装や軒天など危険を伴う高所に使用する場合は専門業者に依頼するのが安心です。
Q6.防虫塗料の効果が出るまでにはどのくらいかかる?
塗料が乾燥すればすぐに効果を発揮します。
乾燥時間は気温や湿度によって異なりますが目安としては半日~1日程度で虫よけ効果が感じられるようになります。
Q7.塗装する高さや場所で効果はかわる?
はい変わります。特に虫が寄りやすいのは玄関まわり、バルコニー、照明付近、軒天です。虫が集中する場所にポイント的に塗装するのが効果的です。
4.まとめ
塗装は単に家を綺麗に美しく見せるだけでなく、虫対策としても役立てることができます。
特に「防虫塗料」や「虫が寄りにくい色の選択」「外壁のひび割れ補修」の3つを組み合わせることで効果的に虫対策ができます。
また、塗装以外にもできることはたくさんあります。少しの工夫を取り入れることでお住まい全体を快適に保つことができますよ♪
これから外壁塗装やメンテナンスを検討されている方はぜひ虫対策も意識して計画すると付加価値の高いメンテナンスになりおすすめです!